「中国の香港政策に口出しするな」「植民地時代はもっとヒドかった」のウソ

「愛国と批判」の精神が輝いていた
ふるまい よしこ プロフィール

さらに既報通り、外国人も、また香港居住者でなくても、さらには香港で行われた行為でなくても、国家安全法の処罰対象になる点についても、前出の梁氏は「基本法より無限大に拡大されている」と指摘する。

こうした基本法ですらも無視したロジックで制定された法律の施行が、香港社会にショックとプレッシャー、そして混乱をもたらしている。ネットには「一国二制度」ならぬ、「一国“殺”二制度」(One Country Kills Two Systems)というプラカードを掲げる市民の写真も流れたが、文字通り「一国」が「二制度」を完全に消し去ってしまった。

ネットで流れた「一国“殺”二制度」の画像
 

そんな事態に際して、日本国内ではまだ、「中国の内政干渉をしてはいけない」とか「植民地時代の香港が今よりも良かったはずがない」という意見がある。特に後者においては、「列強による植民地支配とはそういうものだ」「日本の韓国や台湾の統治時代もそうだった」を根拠にする人が少なくない。

こうした文言が日頃はリベラル「っぽい」人たちの口から飛び出してくるのを見ると、これはある意味、日本の戦後教育のトラウマなのではないかと感じる。かつての「日本の統治システム」への嫌悪感から形成された「ポリティカル・コレクトネス」が、「植民地」という言葉に「パブロフの犬」的な画一的な拒絶反応を生んでいるからだ。

筆者は香港返還の10年前の1987年から14年間香港で暮らした。そのまま主権返還を迎え、香港を離れた後も香港事情をずっと追い続けてきた。実際に体験した植民地香港は、我われが日本の教育で耳にした「日本の韓国や台湾統治」とは大きく違った。筆者も日本の植民地統治を肯定するものではない。

だが、だからといって今の香港人がなぜ植民地時代を懐かしむのかを切り捨てるわけにはいかない。今回は日本人読者が「植民地」という言葉に持つ固定観念から抜け出し、現実の香港事情を理解するための参考情報を提供したい。