メチャクチャな政治家に人生を壊される「役人という生き物」の悲しみ

こうして「忖度の構造」は維持される
大原 みはる プロフィール

「えこひいき」の方法を考える

研究会を作って、あるテーマについて中長期的に提言をもらおうというくらいであれば、審議の期間中、役所の事務方がある程度ディレクション(議論の方向付け)もできるので、そこまで身構えることはない。しかし、役所のボスである政治家が具体的に「○○を実現したい」と事務方に検討指示してきた場合、役人としては対応に困ることも少なくない。

特に厄介なのが、その政治家の有力な支持者や献金を受けている業界から受けた頼まれごとについて、事務方に「何とかならないか検討して」という指示を出してくる場合である。

政治家はバカではないので、最初から「えこひいきしろ」「違法なことをやれ」などとは言わない。当然ながら、あっせん収賄などの汚職にはならないような建て付けで実現すること(たとえば、特定の業者に意図的に便宜を図ったわけではないが、結果的にそうなった、と見えるようにする)を大前提に「できる方法はないか考えてほしい」と言うのだ。

 

そんなとき、できる部下ほど、答えは「頑張ります」だろう。「それは公平性に反するのでできません」と答えるべきだ、と外野から非難するのは簡単だが、役人の高度な知恵で理屈さえ捏ねれば、グレーゾーンかもしれないが、なんとかギリギリセーフの建て付けで実現できてしまうことが多い。「無理だ」という回答はそうそう出せないのである。

そもそも公務員は上司の職務命令に従う義務を負う一方で、法令や条例等、行政機関が守るべきルールを順守する義務も同時に負っているが(国家公務員法第98条第1項、地方公務員法第32条)、明らかにおかしな(≒違法な)命令でない限り、上司の命令を優先させるのが普通だ。公務員の多くは、真面目で、上司の命令に忠実だからである。そこに出世欲も加われば、彼らが政治家の指示を忖度して立ち振る舞うのは当然と言える。

考えてみれば、この構図は民間企業でも同じだろう。無理筋の仕事を調整し、上司の指示に応えるのが優秀な部下であり、出世していく。公務員が悪いとかではなく、日本社会の仕組みの問題なのである。