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韓国が主張する「軍艦島の世界遺産取り消し」日韓対立がこじれたワケ

「反日」と「嫌韓」負のスパイラル

「日本は歴史の隠蔽と歪曲を謝罪せよ」

全く改善の動きがみられない日韓関係だが、また新たな懸案が発生した。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」を巡る対立だ。

明治日本の産業革命遺産(23施設)は2015年、世界遺産に登録された。当時、韓国は、長崎市の端島炭坑(軍艦島)などを挙げ、日本統治時代に朝鮮半島の出身者が労働を強いられた施設が含まれていると主張した。

日本は同年7月の世界遺産委員会で「意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者」がいたとし、当時の徴用政策を理解できるような措置を講じると説明。説明戦略の策定に際し「真摯に対応する」と約束し、センター設置の準備を進めてきた。

そして今年6月15日から、東京都新宿区の政府施設内に設けられた「産業遺産情報センター」が、「明治日本の産業革命遺産」を説明する資料の一般公開を始めた。しかしここで、差別を否定する証言などを展示したことに、韓国側が猛反発した。

「軍艦島」とも呼ばれる長崎県・端島(Photo by iStock)
 

康京和(カン・ギョンファ)外相は6月22日、ユネスコのオードレ・アズレ事務局長に宛てた書簡で、世界遺産登録取り消しの可能性を含め、世界遺産委員会が日本に約束の忠実な履行を促すこと、また韓国を支持することを要請した。朴良雨(パク・ヤンウ)文化体育観光相は、自身のフェイスブックで「過ちを隠蔽し認めないことは、勇気と自信がないという告白と同じだ。日本政府は今からでも歴史の隠蔽と歪曲を謝罪し、国際社会の正直な一員になるべきだ」と強調した。

これに対し、日本政府は「2015年当時の合意を忠実に履行している」と主張。日本外務省は在外公館に対し、第3国が日本の措置に対して誤解しないよう、措置の趣旨や背景を説明することを指示した。

日本政府関係者は「炭鉱での仕事が過酷だったことは間違いない。1944年に徴用令が朝鮮人にも適用されたため、それ以降は意思に反して連れてこられたという主張も成立する」と語る一方、「元住民の証言や賃金体系を見ると、朝鮮人に対して特別な差別があったとは言えない」と説明する。別の関係者は「世界遺産としての価値が減じない以上、世界遺産の登録取り消しはあり得ない」とも語る。

いったい、どうしてこのような対立が生まれてしまったのだろうか。