そしてもう一つ重要なポイントは、このワークショップが女性だけに向けられたものではないこと。男性の参加者にも開かれているという事実だ。

ペナン女性発展局が掲げるもっとも大きな指針は“Gender Inclusiveness Policy”。ジェンダー包括政策とでも訳すべきだろうか。男女平等を強く訴えるのではなく、すべてのジェンダーを包み込むような政策を立案している。

「ただ女性の地位向上を訴えても届かないけれど、男性にも関係ある政策ですよ、と言えば誰もが耳を傾けるでしょう?」と穏やかな笑みを浮かべるのは、ジェンダー包括および非イスラム教宗教事務委員会主席であるチョン・エン。彼女はペナン女性発展局を推進する象徴的存在である。

チョン・エンさん。

重要なのは社会構造そのものに問題があるという事実に気づかせることです。例えば保育所を増やす活動もしていますが、子どもを迎えに行く母親が仕事を早退するのが難しいように、父親だって早引けできない。だからすべてのジェンダーに関係がある問題なのだと、訴える必要があるんです」

具体的には、女性のリーダーを育成し、意思決定機関に送り込むことで、予算を確保し、さまざまな変化を起こすべく活動している。ペナン州政府および各自治体の議員は、4:4:2の割合で、男:女:すべてのジェンダー、という比率で構成されるように決まった。将来的には国会においても同じ基準が適用されることを目指す。

“Gender Inclusiveness Policy”には、マレーシアという多民族国家における複雑な宗教的、文化的背景を「乗り越える」のではなく、誰も取りこぼさないという字義通りの「包み込む」ような意志が感じられる。したたかで、かつ、柔らかな政策。ペナンには変化の兆しが見えた。


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Photo:Norio Kidera Coordination:Wong Lai Yong Text:Toshiya Muraoka Edit:Chizuru Atsuta