ドイツのオンライン決済会社 ワイヤーカードが6月25日に破産手続きを申請した。同社は、日本人になじみがあまりなく、せいぜいソフトバンクが、2019年に10億ドル(約1000 億円)の出資を行っていたことが話題になった程度だが、ドイツでは2018年に主要30銘柄(DAX30)に入っている重要企業だ。
このスキャンダル(事件)は、現在、我々の世界が抱えている次の3つの問題点の象徴だと考える。
1. 東西ドイツ統一以降16年間のメルケル独裁、特にリーマン・ショックから続くドイツ(経済)の疲弊
2. 会計監査システムという虚構
3. ソフトバンクを含むIPOバブルの追い風を受けてきた企業が直面する苦境
である。
この3つの問題点に触れる前に、まず、ワイヤーカード事件のどこが問題なのかを整理してみたい。
6月23日のミュンヘンの検察当局発表によれば、ドイツ警察はワイヤーカードの前CEOであるマークス・ブラウン氏を詐欺の疑いで逮捕した。
嫌疑は、
A. 循環取引で売上高を水増しした。不正取引は、国内の監査法人の精密な調査を回避するためにドイツ国外で行われたようである。
B. 19億ユーロ(約2300億円)の資金(預金)の所在が分からなくなっている。
などである。