スーツ業界には大逆風が吹き荒れる photo/iStock

紳士服業界、なぜか「AOKI」と「洋服の青山」の明暗が分かれてきたワケ

実は「価格表示」がキモだった…

米国の老舗紳士服専門店ブルックス・ブラザーズが7月8日、連邦破産法11条を申請して破綻したが、大手紳士服専門店、テイラード・ブランズ社も業績が悪化し、傘下の「メンズウエアハウス」が債務の利子610万ドルを払えず、連邦破産法の申請も時間の問題と囁かれている。

このテイラード・ブランズ社は「米国版・青山商事」と例えられるほど事業規模も領域も商品も店舗スタイルもよく似ている。青山商事も財務は盤石とは言え紳士服販売の翳りは否めず、20年3月期は売上が13%、営業利益が94.4%も減少し、200億円の特別損失を計上して169億円の純損失となった。コロナ危機に直撃された4〜6月期も売上が前年同期から45.0%も減少し、店舗が全面再開した6月も34.3%減と回復せず、売上が急回復しているカジュアルチェーンとは明暗を分けている。

リモートワークの定着などでアフター・コロナも紳士服需要の回復は望めず、ビジネススーツは滅多に着ない裃のような「礼服」になってしまいそうだ。

ブルックス・ブラザーズ破綻のニュースは波紋を広げた photo/gettyimages
 

いまアメリカで起きていること

テイラーズ・ブランズ社は紳士服専門店のメンズウエアハウスが同業のJos.A.Bankを合併して16年1月に設立した持株会社で、合併で1700店舗、年商35億ドルに迫る紳士服チェーンが誕生したが、18億ドル相当の買収費用で合併初年度は10億ドル超の最終赤字となった。

その後は持ち直したが、米国でもカジュアル化の加速で紳士服市場は衰退しており、20年1月期は売上が28億8000万ドル、営業利益は9780万ドル(売上対比3.4%)に留まった。紳士既製服中心ゆえ在庫回転は199.8日と遅く、202.7日の青山商事(20年3月期)と奇妙なほど近似している。