カワグチ(Kawaguchi)さんとアメリカ人ハーフのエミリ(EMILY)さんによる男女フォークデュオ『HONEBONE(ホネボーン)』。実体験を元にした飾らない歌詞が人気を集めています。中でも、NHK BSプレミアムで放映中の『うたう旅〜骨の髄まで届けます〜』は、旅先でさまざまな人たちと出会い、そこで働く人たちの本音をふたりが即興で歌い上げていきます。この歌が、とにかく「心に刺さる」「どうしようもなく涙が流れる」と話題を集めているのです。

そして、そんな多くの人の心を震わすHONEBONEの連載が本日からスタート。毎月悩みを募集し、その悩みに対する答えをエミリさんが『HONEBONE エミリのごじゃっぺコラム』という形で執筆。ラストには、記事のエピソードに合わせ、エミリさんとカワグチさんが曲を制作。その歌を動画で毎回アップします!

第1回「エミリのごじゃっぺコラム」は、「親子の問題」について。小さい頃からエミリさんが抱えてきたお母さんへの思いを文章と歌とともに、お届けします。

※「こじゃっぺ」とは、北関東の言葉で「いいかげん」「バカ、マヌケ」「役に立たない」などの意味があります(諸説あり)。

仲はいいけど、他の家とはちょっと違う「母親」

私の両親はずっと働きマンだったから、私は保育園育ちだった。親は保育園に迎えに来られず、ベビーシッターさんがいつも来てくれてた。

「あの人ってエミリちゃんのお母さん?」と、聞いてくる友達に、
「んー違うけどお母さんみたいなもん」と答えていた。我ながら、自分でも納得できるセンスのいい答えだと思った。

共働きといっても、19時ころには帰ってきていた記憶がある。両親ともども出張する日もあったけど、「忙しすぎて子供なんてそっちのけ」という印象は全くなかった。むしろ、両親はめちゃくちゃいい距離感で付き合ってくれた。父がたまにずる休みして連れて行ってくれたディズニーランドはもう何とも言えない背徳感だったし、家族旅行も結構行ってた。だから、家族に不満なんかなかったし、外からも「仲がいい素敵な家族」に見えていたと思う。

自分の母親がアメリカ人で、それが目立つことだとハッキリ認識し始めたのは小学校に入ったころだった。授業参観で母が来れば「エミリの母ちゃんだ!」とすぐ言われ、運動会で母が大声を出して私を応援すれば「やっぱりアメリカの血は違うね」的なことを言われ、そのころからアメリカ人の母親がいることを「恥ずかしい」と思うようになっていた。

授業参観に母が来るもの恥ずかしい時期があった。photo/Getty Images

今でも記憶としてしっかりと残っていることがある。兄のサッカーの試合観戦に私も連れていかれた。どれほど大事な試合だったのかは知らないが、母は本気で応援していた。大声で応援をしていた。応援に熱が入り過ぎて、その様子を見た他のチームの少年たちが陰で指をさして母を笑い者にしているのを私だけが見てしまったのだ。その時私はまた、「恥ずかしい」と思った。

「ママ、もう少し静かに応援してくれない?」と、小学校低学年の私は言った。すると、
「なんで?お兄ちゃんの大事な試合なんだよ?好きに応援させてよ」みたいなことを母が言っていた記憶がある。確かに何も間違っていない、母は何も間違ったことを言っていなかった。しかし、お願いを聞いてくれなかった母に対して苛立ちを覚えた。