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講談社科学出版賞が決定!『地磁気逆転と「チバニアン」』の誕生秘話

今だから言える「本当のウラ話」

年に一度、前年度に刊行された一般向けの科学書の中で、もっとも優れた啓蒙書に贈られる講談社科学出版賞。

この度、第36回の受賞作が、ブルーバックスから出版された菅沼悠介さんの『地磁気逆転と「チバニアン」』に決定しました!

2020年1月17日に、新しい地質年代として誕生した「チバニアン」(その経緯はこちらからどうぞ)。著者の菅沼さんは、「チバニアン」申請チームで論文執筆責任者を務め、決定に導いた立役者です。

受賞を受けて、喜びの声を寄せていただきました。

地質年代「チバニアン」は数々の危機を乗り越えて誕生したのですが、その決定からわずか2ヵ月後に刊行された本書『地磁気逆転と「チバニアン」』の刊行までの道のりも、相当大変だったようで……。

ケープタウン空港で直面した「2つの壁」

2019年12月、約40日間の南極調査を終えて南アフリカのケープタウン空港に降り立った僕は、人間社会に戻った開放感と同時に、この先に控えている大きな “壁” の存在を再認識して、ちょっと愕然としていました。

ケープタウン空港 Photo by gettyimages

その大きな壁とは、今年新たに誕生した地質年代名「チバニアン」の認定に関わる審査。そして、このエッセイのテーマである拙著『地磁気逆転と「チバニアン」』の執筆です。

『地磁気逆転と「チバニアン」』のあとがきにも書きましたが、本書執筆の構想そのものは数年前からありました。でも実際のところ、重すぎる腰をあげてようやく書き始めたのは昨年の秋になってからでした。

 

講談社の編集担当・家田さんには、ずっとずっと急かされ続けられていたのですが、「チバニアン」(正式には「前期・中期更新世境界の国際境界模式層断面とポイント」)の審査対応がとっても大変だったこと、そして何より、もしチバニアンが認定されなかったら、この本の存在意義はどうなってしまうのだろうと思うと、「筆はまったく進まぬ」という状態だったのです。

さらに、ようやく本の執筆の取りかかったのも束の間、2019年11月には、ヤキモキする家田さんを置き去りにして、僕は南極調査に出かけてしまいました。