外務省騒然…「日本政府高官」が匿名で書いた「YA論文」のヤバい中身

「オバマよりトランプ」と言い切った
吉崎 達彦 プロフィール

つくづく時代は変わったものだ。日本人同士が『中央公論』あたりを舞台に論争していたのでは、所詮はコップの中の嵐。しかるにYA論文は、世界の論壇に貴重な一石を投じてくれた。同じようなことを、欧州や中国やその他の国々の専門家が真剣に考えているはずである。なんとなれば、来る11月3日に米国で行われるギャンブルに対して、無縁でいられる国など地球上のどこにも存在しないのだから。

 

米国の二極化をどう考えるか

最後に少しだけYA論文を擁護して、本稿を終えたいと思う。

米国の対中政策が、オバマ政権第2期から「関与よりも抑止」重視に転じているという見立ては間違いないだろう。それでも米国の民主党支持者は、4年前に比べてさらに左傾化している。おそらくバイデン新政権が誕生した場合、最初に取り組む課題は米国のパリ協定への復帰であろう。「意識高い系」の民主党支持者は、経済的利益や安全保障問題よりも気候変動などのグローバルイシューを重視する。となれば米国外交は、再び対中協力を必要とするようになるのではないか。

ここへきてバイデン氏の副大統領候補として、オバマ政権の国家安全保障担当補佐官を務めたスーザン・ライス氏の名前が挙がっている。「対中協力」の中心人物であった名前が浮かぶことに、嫌な予感を覚える外交関係者は少なくないはずである。

「相手がAでもBでも、日本外交は大人の対応が必要」なのはもちろん正論だ。それは優等生の議論である。しかし、「われわれにとってはAの方がありがたい」というホンネの議論も、別の次元で必要なのではないだろうか。何しろ米国内の党派的対立、すなわちAとBの乖離は甚だしいものになっている。外交論議においても、そこから目をそらしてはいけないと思うのだ。