賃貸マンション「カビだらけ退去」…ヤバい借主に対する大家の苦悩

勝手に犬と猫も飼っていた…
秋山 謙一郎 プロフィール

こうして、とことん訴えられた借主側がごねる姿勢を見せれば、大家側も、強くは出られない。

大家側にとって有利な証拠が揃っており、勝ち目があるとわかっていても、本裁判となると、幾度となく裁判の場(期日)が設けられ、やり取りを重ねることになる。裁判官による和解勧告が出ても、その話し合いが行われる。どちらにしても疲弊してしまう。仮に望み通りの判決が出たとしても、その額を相手方(借主)が支払ってくれる保証もない。

強制執行をかけるにしても、その費用もかかる。もっとも、ここまで辿り着くのに、最低でも1年くらいは見ておかなければならない。コスト面を考えると、とても割の悪いものとなる。

だから、「30万円でも、支払ってもらっただけ、マシかもしれない」(大家さん)というのも頷ける。

 

たしかにこれでは、不動産投資とは、その借り手に左右される、実に、割の悪いものであり、誰も、他人に家を貸して生計を営もうとは思わなくなるだろう。

「せめて、この元の借主が勤めていた企業が、『弊社の社員がトラブルを起こし、遺憾に思う』と言ってくれれば、少しは気が晴れるのですが……」

こう語る大家さんだが、企業側が社員の個人的なトラブルに介入したり、コメントを出すことはなさそうだ。