賃貸マンション「カビだらけ退去」…ヤバい借主に対する大家の苦悩

勝手に犬と猫も飼っていた…
秋山 謙一郎 プロフィール

あるエリートの生活実態

この大家さんが、「あそこ」と呼ぶのは、とある“神戸の著名企業”だ。ここに勤めているという借主は、その名前をインターネットで検索すれば、ある技術に関する数多の論文の執筆者や講師としてヒットする。また、その著名企業の“精鋭”として自社のHP内にも紹介されている。現在は、一般的な企業の役職では「課長級」に相当する役職を持つ。大変なエリートである。

もっとも、ブランドやステータスのある企業に勤めているからといって、その人物がプライベートで、すべてにおいて品行方正かといえば、必ずしも、そんなことはない。

それは、この大家さんもわかっている。だが、それでも、あの「神戸を代表する大企業」に勤めている人だからこそ、禁止されているペットを勝手に飼ったり、結露によるカビ発生を報告せず、退去時に、「さらっと」(大家さん)話しただけで、何事もなかったようにやり過ごそうとする態度が許せなかった。

「度々、家賃も滞るので、それを咎めると、誇らしげに、『海外に出張でしたので』と言う。延滞利息を支払う素振りすらみせてくれませんでした」

 

退去時、初めて、カビ発生の事実を知ったという大家さんは、その後、ハウスクリーニングや工務店などの専門業者に修繕費用の見積もりを取った。カビが発生する家に次の居住者を住ませる訳にはいかない。大家という職責上、次の入居者の命を守る義務がある。

その修繕には、かなりの高額になることは予測がついた。もちろん、全額、元の居住者に負担を強いるつもりはない。しかし、「これだけの金額がかかります」ということを知らせたかった。