世界に先駆けていち早く、持続可能な海のための取り組みを行っている6つの企業や団体に所属する女性たちが集って、座談会を開催。企業や団体が現在取り組んでいることと、今後、海のためになにができるのかについて意見が交わされた様子をレポートします。

座談会に参加した方々
釣流 まゆみ さん
(株)セブン&アイ・ホールディングス執行役員。CSR 統括部が3月にサステナビリティ推進部となり、シニアオフィサーに就任。母は広島宮島出身で、子どもの頃は、毎夏、海で遊んだ。

嘉納 未来 さん
ネスレ日本(株)執行役員。コーポレートアフェアーズ統括部長として、社内外広報を担当。海と山に囲まれた神戸の街で暮らしており、海の見える景色に愛着がある。

岡部 容子 さん
日本コカ・コーラ(株)の広報・パブリックアフェアーズ本部で渉外活動を担当。もともとCSR 活動に興味があり、プログラムの企画運営などを経て現職。海が見える家に住むのが夢。

藤田 美穂 さん
日本製紙(株)CSR 本部で20年以上担当してきた広報を経て、7月からCSR部の部長代理に。子どもの頃から海の近くに住んでいるため、海が汚れていく現状に危機感を覚えている。

中田 有香 さん
富山市環境部環境政策課企画係技師。公害対策関係の部署で環境保全担当を振り出しに国交省への派遣を経て、今年から環境教育やエネルギー管理、海洋ごみに関わる業務を担当。

本多 真紀 さん
公益財団法人 日本財団 海洋事業部 海洋チームのリーダー。カナダで生まれ育ち、現在は3人の子どもを育てる母でもある。育児休職から復帰後に海洋チームの担当になり、目下、勉強中。

薗田 綾子 さん
CSR コンサルティングやCSR 企画制作の支援をする(株)クレアンの代表取締役。30年以上前から環境問題や女性の活動支援に力を入れてきた。FRaUのSDGs 号アドバイザー。今回は司会進行を務める。

企業や団体が持続可能な海のために
できることとは?

薗田 今日、集まっていただいたみなさまは、それぞれが持続可能な海に向けての取り組みをされている企業や団体に所属する女性たちです。それぞれの取り組みや思いについて、ざっくばらんに語り合ってみたいと思いまして。

釣流 セブン&アイグループは2019年5月に「GREEN CHALLENGE 2050」※1という環境宣言を発表しました。

※1 「GREEN CHALLENGE2050」
社会ニーズの変化や環境問題など、様々な社会環境の変化に対応するために定めた環境宣言。照明や冷凍・冷蔵など店舗運営に必要な電力使用等で生じている「CO2排出削減」、商品包装材やレジ袋などの「プラスチック対策」、商品の廃棄などで生じている「食品ロス対策」、そして原材料生産、加工、製造などの過程で環境や社会への影響が生じる「商品調達」を大きなテーマに特定し、目標値を設定して革新を推進している。それに伴い、4つの各課題に対してイノベーションチームを新たに立ち上げた。

CHANGE FOR THE BLUE/“これ以上海にごみを出さない”という社会全体の意識を高めるムーブメントを起こすため、産官学民からなる12のステークホルダーと連携し、海洋ごみの削減モデルを作り、国内外に発信するプロジェクト。

本多 日本財団は、社会全体で増加し続ける海洋ごみの問題を考えようというムーブメントを起こすための「CHANGE FOR THE BLUE」※2というプロジェクトをスタートしました。産学官民のあらゆるステークホルダーと連携して、海洋ごみ対策のモデル作りを進めています。

※2 「CHANGE FOR THE BLUE」
「海と日本PROJECT」を基盤とし、日本財団が2018年11月より推進している取り組み。

中田 その「CHANGE FOR THE BLUE」における全国で最初の地方自治体連携都市として選定されたのが富山市なんです。富山市では、人口減少社会の到来を見据え、将来的に持続可能な都市であり続けるため「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」※3を核として、さまざまな環境施策を推進してきました。その取り組みを日本財団に評価していただいて。

※3 「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」
富山市が実施してきた都市政策。CO2削減などの環境負荷低減に資する環境政策としても高く評価されている。富山市は「環境モデル都市」「SDGs未来都市」にも選定され、地球環境問題に積極的に取り組んでいる。その一環として、海洋プラスチックごみ削減モデル事業を創出する予定。

岡部 私がCSR※4に関わるようになったこの10年で、さまざまな環境問題が話題となりましたが、海洋プラごみ問題は特に世間の注目度が高いと感じています。

※4 「CSR」
企業の社会的責任を意味する。企業が持続するためには、社会そのものが持続可能でなくてはならないという考えから、企業が自らの利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任を持ち、あらゆるステークホルダー(利害関係者)からの要求や期待に応えるために、適切な意思決定をする責任を指す。

嘉納 確かに今、海洋ごみは深刻な問題ですよね。私は海水浴に行ってもヤドカリを探してしまうような生き物好きなので、生き物が苦しんでいることを知ると、胸が痛みます。

中田 富山湾では、年間約1800tの海岸漂着物が確認されていて、そのうちの約8割が、県内陸域から発生したプラスチックごみ類が河川などを通じて海域に流出したものであることがわかっています。基礎自治体である富山市が取り組めることとして、小河川や農業用水などに網場を設置しようと、現在、適地などを調査しています。

藤田 弊社は紙を専門に扱っていますが、プラスチックが悪というわけではないと思っています。一人一人の使い方の問題ではないでしょうか。今日はみなさんとお話しすることで、なにか新しい可能性が広がるといいですね。