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アスリートを守れ! コロナ自粛検証で見えてきた2つの科学的視点

科学的根拠に基づく再開プランが必須

世界中で猛威を振るっている新型コロナウィルス感染症(COVID-19)。感染者数は7月20日時点で1,400万人を超え、死者約60万人という今世紀最大の惨事となっています。

2020年東京オリンピック・パラリンピック(東京2020)を控えていたスポーツ界も、大きな影響を受けることとなりました。3月、国際オリンピック委員会(IOC)は東京2020の延期を検討し、3月24日に東京2020組織委員会と延期決定について共同で声明を発表しました。これにより、オリンピック史上初めて、1年間の延期が決定しました。

今、各国各競技のアスリートに対してどのような影響があったのかはあまり知られていません。そこで、ここではCOVID-19がアスリートに及ぼした影響について、科学的な知見をもとに紹介したいと思います。

 

世界のトップスポーツ研究拠点がアスリートを調査!

緊急事態宣言下の外出自粛期間、日本のトップアスリートの中核拠点であるナショナルトレーニングセンター・ウエスト(NTC・ウエスト)、ナショナルトレーニングセンター・イースト(NTC・イースト)、国立スポーツ科学センター(JISS)からなるハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)も4月7日より閉鎖となっていました。5月25日の宣言解除に伴い、ようやく関係機関と協議を重ねて段階的な再開へと至りました。

世界には日本と同じオリンピックやパラリンピックのアスリートのためのトレーニングセンターが多く存在します。これらの施設も閉鎖を余儀なくされていましたが、日本と同様に徐々に再開されています。アスリートに対して、COVID-19がどのような影響を及ぼしたのか、各国も調査を進めています。

  日本のハイパフォーマンスセンターと世界のトレーニングセンター(写真上は左がハイパフォーマンスセンター、右がベルリンオリンピックトレーニングセンター、写真下は左がオーストラリア国立スポーツ研究所AIS、右がスペイン・バルセロナのナショナル・トレーニング・センターCAR)

こうした調査によってわかってきたことを、2つの視点から解説します。

アスリートへの影響はどのようなものだったか?

アスリートは、自らの競技でパフォーマンスを上げることを最大の使命として日々暮らしています。スポーツ科学を研究する我々が究極のセオリーとして捉える、トレーニングと食事、そして休養を、適切なリズムとタイミングでとることを日々、実践しているのです。

今回のCOVID-19は、その究極のセオリーに基づくパフォーマンスアップへの努力を中断せざるを得ない状況であったことは間違いありません。そのことを裏付ける調査結果を2つ示します。

国際オリンピック委員会(IOC)は、6月に“IOC Athlete 365 Survey Findings”を公表しました。この調査の対象者は4089名で、その内3289名がアスリート及び元アスリートでした(61%がエリート、30%がユース、9%が引退アスリート)。回答者は135ヵ国から構成され、そのうちの7%が日本人というものでした。

この調査の結果から、アスリートの抱える課題が見えてきました。