WHOのテドロス事務局長〔PHOTO〕gettyimages

新型コロナで噴出した「WHO批判」から見えてくる「問題の本質」

グローバル・ヘルスの問題点と課題とは

WHOに対する痛烈な批判

新型コロナを巡ってはWHO(世界保健機関)が国際社会の痛烈な批判に晒されている。

アメリカのトランプ大統領は4月、WHOが「基本的な義務を果たさなかった」、「中国寄りである」として拠出を停止すると発表、5月末にはトランプ政権が要求した改革が実行されていないとして「WHOとの関係を終わらせる」と宣言した。実際、7月初旬にはWHO脱退を国連に正式通告した。

またオンライン署名サイトChange.org上では、「WHOが中立ではない」ことに失望したとして、カナダ在住の発起人がテドロス事務局長の辞任を要求する署名活動を開始し、100万人が署名に賛同した。

本稿ではこうしたWHO批判を読み解くことで問題の本質を見極め、それをどのように改善していくべきかを考えていきたい。

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中国への特別な配慮?

トランプ大統領によるWHOへの批判は大まかに「中国寄り」、そして「義務を果たさなかった」という2点に集約できよう。

まず「中国寄り」、「中立ではない」という批判についてだが、そのような批判の原点となったのが、新型コロナをめぐるテドロス事務局長の中国への対応であった。

湖北省武漢市の保健当局が新型肺炎の集団感染の事例をWHOに報告したのが2019年末、翌年1月22-23日にはWHOの専門家会合が招集されたが、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を一旦見送った。

1月28日にはテドロス事務局長が訪中、習近平国家主席と会談を行い、その対応を称賛した上でWHO-中国の連携を確認、国際専門家チームを派遣することで合意した。

感染が広がりつつある中で中国の対応を称賛したこと、また1月22-23日の専門家会合の際、緊急事態宣言を見送ったことが中国への忖度ではないかと批判されてきたのである。