世界的スター「BTS」の成功に不可欠だったリーダーの「言葉の力」

「過ちや欠点が、私という人間であり…」
平松 道子 プロフィール

リーダーのスピーチ力とコメント力

前置きが長くなってしまったが、今回私がテーマにしたかったのが、BTSのリーダーRMのスピーチ力とコメント力だ。

RMは1994年生まれの20代半ばの青年だ。BTSの日常のちょっとした場面を配信しているYouTubeなどのコンテンツを見ると、RMは物を無くしたり(ワイヤレスイヤホンは数十個なくしたとニュースにまでなっていた)、壊してしまう場面が度々アップされていて、特にBTSのメンバーといる時は賑やかで少し落ち着きがない、やんちゃな少年のようなイメージだ。しかしここぞいう場面では、スイッチが切り替わるように落ちついた姿で人々に語り掛けることができる。

BTSは自分のパートは基本的に自分で作詞するラッパーRM、SUGA、J-HOPEを中心に、メンバー全員が楽曲制作に参加していることもあり、楽曲に込めたメッセージをパフォーマンスで再現する能力に長けている。

そこにRMがリーダーとして様々な場所で行うスピーチやコメントが加わり、BTSの音楽にさらに深さと広さを与えているのではないだろうか。

〔PHOTO〕gettyimages
 

スピーチやコメントは推敲しながら制作できる歌詞とは異なり、伝える相手や対象を見極めたうえで、自分の感情やメッセージを伝えるために、今どのような言葉をどんな風に伝えるべきなのかを瞬時に判断する力と、テクニックがある程度必要になってくる。

海外の政治家や社会活動家、カリスマ社長と呼ばれる人などは、巧みなスピーチをするイメージがあると思うが、それは彼らのスピーチが人の感情を動かし行動を促しているからだろう。

RMのスピーチやコメントは、彼の書く歌詞で見られる言葉選びや構成と同様に、非常に哲学的であり文学的だ。

それはIQ148の学力、中学生でTOEIC900点を獲得したという高い言語能力をベースにしながら、BTSがアメリカでの人気を確立していく2017年以降さらに進化していった。

RMのスピーチとコメントの素晴らしい点は、BTSの影響力が急拡大していくことへの畏れや挫折すら隠さず話してきたという点と、成功を手にしていく中で出会った様々な人との対話から学び、語彙力と表現力を向上させ続けている点だろう。

BTSはアメリカで多くのトーク番組に出演しているのだが、それを見て私は改めてRMがリーダーとしてBTSのメッセージ、姿勢を英語で的確に表現していることに驚いたものだ。

そして、BTSの他のメンバーもそんなRMのスピーチ力、コメント力を非常に高く評価し、RMが対外的なメッセージを発信することを安心して任せているように見える。