日本でも、3月30日、生命・医療倫理研究会の有志が「COVID-19の感染爆発時における人工呼吸器の配分を判断するプロセスについての提言」をだして、再配分を強く肯定したことで、いろいろと議論となった。
二重否定みたいで言い回しがややこしいがよく読めば、助かる見込みのある患者であっても、(例外的な場合には)本人の同意無しに人工呼吸器を取り外して別の患者のために使っても構わない、とまで踏み込んでいる内容と分かるだろう。
なかなか思い切った説を主張したものだと思う。
だが、こうした考え方は英米では珍しいものではなく、むしろ主流派だ。
それは、自然死や尊厳死をめぐる議論のなかで、生命維持治療を行わないことと、いったん始めた生命維持治療を途中で取りやめることは、論理的・道徳的に違いはないという論理が広く認められているからだ。
ある条件のもとで人工呼吸器を装着しないという判断(差し控え)が認められているのであれば、同じ条件が満たされれば人工呼吸器を取り外しても罪には問われないということだ。