コロナパニックの中、日本で「人工呼吸器」が話題になった理由

医療資源をどう分配するか
美馬 達哉 プロフィール

さて、新型コロナウイルス感染症では、肺炎が急激に悪化して重症となると一時的に人工呼吸器や人工肺(ECMO)で呼吸を助ける必要がでてくることがある。

そんな重症者が一度に大量に発生した場合、人工呼吸器などの医療資源が不足するかも知れないので、混乱を防ぎつつ、できるだけたくさんの人の生命を効率的に助けるためには準備をしておいた方がよい、という論がでてきた。

つまり、人工呼吸器が必要そうな患者が同時に多数現われた場合に、どう優先順位を付けるかという問題――トリアージ問題――ということになる。

 

トリアージから再配分へ

だが、もともと「トリアージ」とはそういう希少な医療資源の分配問題ではない。

戦場や大規模災害で、病院での治療を始める前段階として、現場から高度な設備のある病院に移送する順序を一瞬で判断する必要性からでてきたものだ。

現場での責任者が手早く傷病者を区分して、自力で病院に行けるくらい軽症の人や治療を遅らせても命に別状のない人は後回しにして、緊急に治療の必要な人を優先的に病院に移送できるようにすることだ。