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「変わり続ける老舗」文明堂のカステラ、その「変わらぬ味」のヒミツ

大野社長にインタビュー

「♪カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂」というCMは誰もが聞いたことがあるだろう。「電話は2番」の理由は、まだ電話番号のケタ数が少なかった昭和初期、文明堂が赤坂局(48番)の2番で予約を受け付け、人気を博したからだという。あのCMは、軽妙な音楽で電話番号を宣伝する広告のはしりだった。「文明堂東京」の大野進司社長(44歳)に「変わり続ける老舗」である同社の現在を聞いた。

カステラの味は「不易流行」

カステラの素材は昔から変わりません。卵、砂糖、水あめ、小麦粉のみです。おかげさまで「変わらぬ味」としてご贔屓いただいています。

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でも、素材の産地や製法は、毎年のようにマイナーチェンジを重ねています。お客様の味覚は常に変化しています。

「よりしっとりさせるにはどこの水あめを使えばいいか」「小麦粉の細かさはどれくらいにすれば舌触りが滑らかになるか」などと、時代が好む味覚を意識し、味を変え続けているのです。

ちなみに、当社には長崎で創業した当時のレシピが残っていますが、その通りに作ると、今のとは別のパサッとしたものができあがります。

菓子業界は仲が良く、カステラ店同士も気軽に話す間柄です。日本青年会議所の「菓子部会」にも老舗から容器メーカーさんまで集まっていて、仲間のお店を訪ねて、皆で稚内まで行ったこともあります。

こうなった理由のひとつは老舗が多いからでしょう。皆で集まると、よく「父が〇○さんのお祖父様のお世話になって」といった話になります。古き良き日本社会を思わせる助け合いが続いているんです。

 

あと、競合しません。たとえば、デパ地下や商店街でカステラを購入されたお客様は、同時に洋菓子や煎餅をお買い求めになることも多く、自然と「業界の皆で売り場を盛り上げよう!」となるんです。

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大学卒業後に電機メーカーに就職し、半導体の営業を担当しました。数年後、この半導体部門が他のメーカーと合併して新会社を作ることになり、若手だった私は事務局で議事録を任されました。