日本では東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオ、サンリオピューロランドなどのレジャー施設をはじめ、宿泊施設や飲食店、カラオケ店なども営業再開、加藤登紀子さんもコンサートを行った。みな十分に対策をとっての再開をしており、今はコロナがある社会でのレジャーやエンターテインメントをどのように行うかという新しい局面にある。
かたや、東京では連続3桁の感染者を数え、7月4日には「東京から他県への移動はできる限り避けて欲しい」と小池百合子都知事が会見した。「夏休みの旅」は難しいのだろうか……。
「夏の旅」について、さらに国民の注目が集まっているのがドイツだ。なにせドイツは旅に使うお金の金額は世界で第3位の「旅行大国」。バカンスは長期間旅をするというのが「1年最大の幸せ」とも言えるのだ。ではドイツでは2020年のバカンスをどのように考えているのだろうか。22歳のときにドイツに移住した雨宮紫苑さんが調べてみると――。
新型コロナ初期は
まだマフラーをしていたのに
気がついたら、いつのまにか夏になっていた。朝5時に起きてもすでに外は明るいし、22時でも真っ暗とまではいかず日に日に就寝時間が遅くなる。「新型コロナウイルス」がニュースになりはじめたころはまだマフラーを巻いていたことを考えると、非常事態が日常になってもうずいぶん経ったなぁ……と思う。
さて、多くの国で「コロナ禍はひと段落」と規制を緩め始めているいま、ドイツはいったいどんな感じなのか。ドイツ人が大大大好きなバカンスシーズンをどのように迎えるつもりなのか。今回はそのあたりを書いていきたい。
ただ、わたしは「ロックダウン」には無縁だったのどかな村に住んでいるし、人によって現状の受け止め方はちがう。この記事でいう「ドイツ」は、「筆者である雨宮の生活圏内、執筆時点でのドイツ」として受け取っていただけるとありがたい。
日本のような「曖昧なお願い」では無理
多くの人のイメージどおり、ドイツは規則が大好きな国だ。日本のような「自粛」や「推奨」というあいまいなお願いより、わかりやすい「義務」や「禁止」のほうが好まれる。「どちらが正しいのか」「だれに責任があるのか」がわかりやすいからだ。
そのため対コロナ対策でもさまざまなルールが設けられ、政府の広報はもちろん、大手メディアや各店が協力して周知していた。わたし自身は、大使館からひんぱんに届く「ドイツにおける防疫措置」というタイトルのメールをもとに最新情報を手に入れている。
ドイツでは、一度ルールが成立すると、きちんとそれを守る人がとても多い。
スーパーのレジでは「密」を避けるために立ち位置を示すテープが床に貼られ、薬局には「入店は最大5人まで」と書かれている。そうすればみんなそれを守るし、ルールを破る人がいれば「ルールを守れ」と面と向かって責める。そういう国なのだ。
たとえば、いくらマスクの着用を推奨されていても、3月の時点でつけている人はほんの一握りだった。しかしそれが「着用義務」になったその日から、スーパーにいる人は全員、100%マスクをつけていたくらいである。
興味深いのが、その義務が「公共の施設内」なので、スーパーから出た瞬間ほとんどの人がマスクを外していたことだ。「感染防止のためにつける」というより、「義務だからつける」という認識の人が多い気がする。
非常事態宣言でもあくまで「要請」に留まっていた日本に比べると、ドイツのコロナ対策は「なにをどこまでしていいのか」という具体的なルールを適宜導入、変更することで、感染を防止しようとした印象だ。