「大地からの食」のコースでは、畑づくりから栽培、種の採取、食品加工まで行う。採れたての豆のさやを剥く参加者たち。この後、みんなで調理して食べる。

ホルマの講座は、主に食につながる内容が多い。例えば、「大地からの食」は、小規模販売を含む農業を考えるコース。実用的で持続可能な栽培を目標に、畑作りといった実践と研究課題、講義で構成。作物をどうやって販売するかなど、その先まで見据えて現場を見に行くスタディトリップも行う。

講義の様子。今日は参加者による研究発表の日。質問や意見が飛び交う。

「公平、平等の思想から、参加者と教師の境界線は緩やかで、一方的に教えるだけのスタイルではなく、今日のように参加者がレクチャーする日もあります」とは教師のシャーロット。取材当日は、座学の授業で、参加者がスクリーンの前で研究しているハーブについて発表していた。

校内には広い畑とガーデン、栽培用ハウス、屋外キッチンなどがある。取材時はちょうど外の畑の入れ替え時期だったが、ハウスの中では葉物野菜が青々と育っていた。すべてオーガニックで栽培している。農具はなるべく機械を使わない。

もう一つの人気講座が「森ガーデン」コースで、生物多様性をテーマに、“共存する庭”“食べられる庭”を作り、採種と種の保存の仕方やパーマカルチャーを学ぶ。1970年代にオーストラリアで生まれたパーマカルチャーは、持続可能な農業をもとに人と自然が共に豊かになるような関係を築いていくためのデザイン手法。

ヒューゴの担当する企業家コースもこのパーマカルチャーと企業家精神、自給自足を一緒に学ぶ。一見つながらなそうだが、いわゆるビジネのための起業だけでなく、変化する世界でレジリエンスを備え、“創造的に自給自足するための自己管理法を学ぶ”ということらしい。

このコースでは、持続可能なビジネスのアイデアとマーケティング戦略、ビジネス計画の書き方、プロジェクト資金の申請方法など、より具体的なスキルを学びながら、小規模経営や再利用することでの暮らしの維持の仕方などを教わる。

教員室の壁には授業で使った言葉の書かれたポスターが。

ヒューゴはこう話す。「気候変動、世界経済、今日の農業、エネルギーなどに関するグローバルな視点を身につけ、ローカルな視点では何ができるかを考える。生物学的にも人間的にも多様性を促進させること。一緒に持続可能な世界を成長させることが本校の目的でもあるので、世界中で同じことをやる人が増えていけばいい。将来的には、ここで学んだ人々が他の場所で実践してもらえるのが理想です」

世界が抱える問題を目の前に、近視眼的な視点ではなく、食べなければ生きていけない私たちが未来とどのように向き合うか、ここにはそんな根源的な問いかけと導きがある。

ホルマ・フォルクホーグ・スコーラ
holmafolkhogskola.se

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●情報は、FRaU2020年1月号発売時点のものです。
Photo:Norio Kidera Coordination:Akiko Frid Text & Edit:Chizuru Atsuta