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これは人喰いヒグマの祟りか!「三毛別事件」知られざる衝撃の後日譚

本当にあった怪奇事件簿②
朝里 樹 プロフィール

死後も止むことのない「ヒグマの祟り」

こうして三毛別羆事件は終わりを告げたが、実はこの事件の後、いくつか不可思議な現象が発生している。

ヒグマは解体された後、煮て食われた。この時参加していた苫前村三線(現在の苫前町香川)の鍛冶屋の息子は、その夜から家人に噛み付くなどの乱暴が始まり、その凶暴性は日に日に増していった。

そこで彼を寺に連れて行ったところ、間違いなく熊の祟りであると宣託を下された。そのため近親縁者が集まり、一心に祈りを捧げたところ、症状は治まった。これには人々も、死後も止むことないヒグマの悪業に恐れ戦いたという。

また有名なのは「熊風」や「羆嵐」と呼ばれる現象だろう。

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このヒグマの死体を移動させる際、晴天だった空がにわかに曇り、一寸先も見えない大暴風雪が吹き荒れた。この日の最大風速は40メートルとも50メートルともされ、熊の暴挙が天の怒りを呼んだとか、逆に熊の怒りが嵐を呼んだなどと伝えられた。

この熊風の伝説は今でも留萌地方に残されており、『新苫前町史』では12月に起こる吹雪を熊風と呼ぶ、という話が記録されている。

そしてこの事件を題材とした吉村昭氏の小説『羆嵐』の新潮文庫版の倉木聰氏の解説では、三毛別羆事件の目撃者であり、後にその仇を撮るために熊撃ちとなった大川春義氏の家族の話が載せられている。

それには、大川氏が熊を獲ると風が吹き、仕留めたことが分かる。それが羆嵐なのだと語られている。

筆者も仕事の都合で留萌地方に住んでいたことがあるが、冬になるとよく吹雪が起きた。今でも熊風は、あの地に吹き荒んでいるのかもしれない。