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これは人喰いヒグマの祟りか!「三毛別事件」知られざる衝撃の後日譚

本当にあった怪奇事件簿②

北海道苫前郡苫前町。その町役場には、巨大なヒグマを象った像が立っている。

日本最悪の獣害事件、三毛別羆事件は現在の苫前町三渓、当時の苫前村三毛別で発生した。この事件では開拓民として北海道に移住してきた人々のうち、8人が1匹のヒグマによって殺害され、3人が負傷した。

この事件は、どのようなものであったのだろうか――。

「山の神」か「悪神」か

ヒグマは古くから北海道で人と共存してきた動物だ。

開拓期に入る前の北海道、かつて蝦夷地やアイヌモシリ(人間の静かなる大地)と呼ばれていた頃、ヒグマはアイヌの人々にとっては脅威であるとともに、恵みをもたらす神でもあった。

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アイヌではヒグマはキムンカムイ(山の神)と呼ばれ、神の国からやってきて熊の姿に化身した食料の神と考えられていた。そのため、「カムイホプニレ(神を旅立たせる)」、「イオマンテ(神を行かせる)」などの儀式によって神の国に送ったという。

このようにアイヌの人々にとってヒグマは大切な存在だった。

アイヌの民話を見てみると、人間の姿になり、人と子をなしたという「ヌプリコルカムイ(山を支配する神)」、ヒグマ狩りの成功を約束してくれる神であり、人間の老爺からヒグマになり、神となった「ウレポロクルカムイエカシ(蹠の大きい神なる翁)」などの話が残されている。

だがその一方、人を殺すヒグマはアイヌの人々にとっても忌むべきものだった。そういった熊は「ウェンカムイ(悪い神)」とされ、狩っても食わず、神の国に送り返す儀式もしなかった。