ヤクザ「仁義なきシノギ」にいよいよ終止符か…特殊詐欺をめぐる新たな動き

稲川会「特殊詐欺を禁ず」の裏事情
川崎 真 プロフィール

この流れを広げられれば、特殊詐欺撲滅の『切り札』になるのではないか。そう考え、2012年ごろから特殊詐欺でも暴対法の『暴力団の威力を利用した資金獲得行為』を用いて、組長訴訟ができないか議論を進めてきたんです」

暴力団員が飲食店にみかじめ料を求める恐喝事件であれば、組員は直接被害者に対して、「暴力団の威力」を示して金を脅し取ることになる。一方、特殊詐欺では普通、組員らが前面に出て被害者に「暴力団」と名乗ったり、威力をちらつかせたりすることはあり得ない。

では、『暴力団の威力を利用した資金獲得行為』という暴対法の規定を、どのように特殊詐欺に当てはめられるのか。話し合いを重ね導いた答えが、詐欺グループ内での暴力団の威力の利用だ。

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前出の中村弁護士は、2016年6月に全国で初めて、住吉会の当時の幹部3人らに対し、約2億2000万円の賠償請求を東京地裁に起こした被害者の弁護を務めている。

この民事訴訟は、警視庁組織犯罪対策4課が2014年から15年に、社債の購入名目で約15億円を詐取したとして、住吉会の3次団体幹部らが関与する特殊詐欺グループを摘発した事件の被害者が原告となった。

中村弁護士らが注目したのは、詐欺グループのメンバーが被害者に宛てた手紙の中に、「グループを抜けたら家族が暴力団から危害を加えられると思い指示に従った」と書いていた点だ。