ヤクザ「仁義なきシノギ」にいよいよ終止符か…特殊詐欺をめぐる新たな動き

稲川会「特殊詐欺を禁ず」の裏事情
川崎 真 プロフィール

実際、警察庁によると、2019年に特殊詐欺に絡んで検挙された暴力団構成員や準構成員は521人で、特殊詐欺全体の検挙人数の約2割を占める。

このうち、現金の受け取り役などグループの末端では、暴力団構成と準構成の割合は1割強なのに対し、主犯格では4割近くに上り、同庁は「暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している」と指摘する。

こういった状況を踏まえ、警視庁は2018年1月、所属部署を横断して連携を深める「特殊詐欺対策プロジェクト」を発足。捜査2課に加え、暴力団捜査を担当する組織犯罪対策4課も加わり、詐欺グループへの包囲網を張り巡らせる。

 

ヤクザの上層部が恐れるもの

この背景を踏まえ、ここで、冒頭の稲川会の通達に戻ろう。

通達では<『稲川会会員は日本古来伝統の任俠の精神に則り社会貢献に務める事を旨とせよ』の言葉通り、精神に基づいて行動すべき事を再三通知している>と、特殊詐欺への関与を厳禁とする理由を「任俠道」にもとるからだとしている。

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しかし、暴力団対策を専門とする捜査員は「通達は上層部が責任を問われないようにする単なる言い訳でしょう。特殊詐欺だけでなく、覚醒剤だって『任俠道にもとる』と公には認めていませんが、どの組織だってシノギの一つ。そもそも、お金に色はついていませんから、配下の組員に『どうやって稼いだんだ』なんて確認しませんよ」と一刀両断する。

では、稲川会の上層部は何を恐れて冒頭の通達を出したのか。

これを読み解く鍵は、2019年2月に同じく関東の主要団体である指定暴力団・住吉会の総本部が出した通達にある。