ヤクザ「仁義なきシノギ」にいよいよ終止符か…特殊詐欺をめぐる新たな動き

稲川会「特殊詐欺を禁ず」の裏事情
川崎 真 プロフィール

「ヤクザを取り締まらなければ」

「特殊詐欺が社会問題化し始めたのは2000年前後です。当初は暴力団の関与は薄く、ヤミ金業者の残党や、暴走族グループOBの半グレの関与が強いと見ていました」

こう語るのは、詐欺グループの摘発に長年携わってきた捜査幹部だ。

オレオレ詐欺などの被害が世間を騒がせるようになってしばらくの間は、特殊詐欺の捜査はもっぱら「捜査2課」の担当だった。彼らは主に、公務員の贈収賄事件や企業が絡む経済事件などのいわゆる「知能犯」と呼ばれる事件を担当する専門集団だ。

水面下で悪事をはたらく知能犯相手の捜査には、膨大なデータや資料からの情報収集や、徹底した内定捜査を行うなどの地道な捜査が要求される。とくに贈収賄や背任、横領事件などになれば、その背景や内容も難解さを極めるため捜査にも緻密さが要求される。

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そんな「知能犯」相手のプロたちが、地道に特殊詐欺グループの行動確認を繰り返し、現金の流れや通話履歴などの証拠を積み重ね摘発してきた。

その緻密な捜査が実を結んだ一つに、警視庁と17都府県警の合同捜査本部が、2015年6月に詐欺グループの複数の拠点を一斉に摘発し、幹部の男をはじめ男女40人を検挙した事件が挙げられる。

この詐欺グループのトップは以前に、「キング」と呼ばれた男のいた別のグループから詐欺のノウハウを学び独立。準暴力団や元暴走族の人脈を使って系列のグループを増殖させていた。


「詐欺グループが被害者に電話を掛ける拠点を摘発して目の前の被害を無くしていくことは非常に重要な捜査です。

一方で現状を見れば、暴力団対策法の改正などで飲食店から用心棒代を取るいわゆる『みかじめ料』など従来のシノギで食っていけなくなったヤクザが、特殊詐欺に入り込んでいるのは間違い無い。ヤクザを取り締まる『4課』が本腰を入れなければ、特殊詐欺は撲滅できない」

前述の捜査幹部はこう強調する。

だましに使う他人名義の携帯電話に口座の手配、受け子や掛子役の勧誘から、詐取した現金が他のグループに強奪されたりしないような監視まで、今の特殊詐欺は暴力団の示す「威力」抜きでは成り立たないというのだ。