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ヤクザ「仁義なきシノギ」にいよいよ終止符か…特殊詐欺をめぐる新たな動き

稲川会「特殊詐欺を禁ず」の裏事情

被害総額はおよそ315億円

<『稲川会会員は日本古来伝統の任俠の精神に則り社会貢献に務める事を旨とせよ』-中略- 特殊詐欺は、何ら落ち度なく判断能力が低下している老人等を狙い撃ちにし、個人的な生活資金を騙し取るもので有って、誠に卑劣である―――>

今年5月、指定暴力団の「稲川会」が約3400人の配下組員に向け、最高幹部の名義で特殊詐欺を「厳禁」とする通達をした。上記はその一部である。

警察庁の統計によると、2019年の特殊詐欺の全国の認知件数は1万6851件。被害総額は315億8000万円にのぼる。被害総額ベースでは、前年の382億9000万円からマイナス17・5%と減少に傾いているものの、依然高い水準で推移している。

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手口別の被害の内訳では親族を騙り高齢者に電話を掛けて騙すオレオレ詐欺が、認知件数6725件、被害額117億6000万円で最多。金融機関の職員らを装い自宅を訪問するなどして、キャッシュカードを騙し取る「キャッシュカード詐欺盗」が認知件数3777件、被害額は59億1000万円で前年比プラス212%と急増している。

高齢者らから多額の現金をだまし取る特殊詐欺が暴力団の主要なシノギ(資金獲得活動)となっていることは周知の事実だが、しかしここに至って、関東の主要団体の一つである稲川会が、このような通達を出した背景には何があるのか。