生まれた瞬間から不利…黒人が直面する「構造的差別」の深刻すぎる現実

生誕から大学卒業までに体験すること
畠山 勝太 プロフィール

初等・中等教育:人種間学力格差の構造

米国の初等・中等教育制度が、人種間格差を維持させる装置となっているのは、「日本人が大好きな『ハーバード式・シリコンバレー式教育』の歪みと闇」という記事で解説した。

もし動画の方が良いという人は、次のYouTubeの動画を日本語字幕付きで見てみると良いかもしれない。念のために簡単にまとめておくと以下の通りである。

(1)日本で明治維新が起こる前に作られた米国の基礎教育制度の主目的は、民主主義の育成であった。このため、固定資産税を教育財源とし、教育委員を地元の選挙で選出し、自分達で集めたお金を自分たちで話し合って決める、というシステムとなった

(2)1950年代に、教育における「分離すれど平等」は違憲となり、白人学校が廃止に追い込まれた

(3)制度的に白人学校を手放さざるを得なくなった都市の富裕な白人が郊外へ移り住む。この結果、米国は大きく、可もなく不可もない農村の白人地域、郊外の裕福な白人地域、都市の貧しい黒人地域の3種類に分化していった。この結果、可もなく不可もない農村の学校、豊かな郊外の学校、貧しい都市の学校と、学校も三層化した。

 

(4)米国は移動の自由が保障されているので、良い教育を受けたいなら良い学区へ引っ越せば良いではないか、というのが富裕白人のロジックである。しかし、それは容易ではない。なぜなら、銀行のローンが人種差別的、不動産ブローカーが人種差別的、大家が人種差別的、教員やPTAが人種差別的、など貧困黒人が富裕な白人学区へ引っ越しそこで学ぶためには、あまりにも多く・高過ぎるハードルを越え続ける必要がある

(5)日米貿易摩擦により、米国の基礎教育制度の主目的が、民主主義の育成から、経済競争に勝ち抜けるだけの人材を育成することへと明確にシフトした。しかし、100年を軽く超える歴史を持つ教育制度はそれに合わせて変化できず、カオス化した

というのが米国の基礎教育制度の現状である。

では、このカオス化した制度は人種間格差を縮小することができたのだろうか?