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すべての人に知ってほしい「黒人差別の根深すぎる歴史」

Black Lives Matterの根底にあるもの

執筆:ジェームス・バーダマン
翻訳・構成:水谷八也

今年の5月25日、ジョージ・フロイドは偽札使用の容疑で拘束され、手錠をかけられたまま警察官により頸部を膝で圧迫され窒息死した。

この殺人事件は、6年前に警察官による締め技で窒息死したエリック・ガーナーの時と同じように、"Black Lives Matter"(黒人の命は大切だ)*というメッセージを掲げた大規模な抗議活動の引き金となった。

半世紀以上前、全米に公民権運動が広がった時代と何も変わっていないことに暗澹たる気持ちになる。この半世紀は一体何だったのか。なぜ黒人アメリカ人と白人アメリカ人の対立はこれほどまでに激しく、根深いのか。今一度、歴史を振り返る必要がありそうだ。

*Lives=Lifeには「生きている」ことのあらゆる側面が入っており、一言で訳出するのは困難である。補足をすれば、「黒人の命、生活、人生は(ないがしろにされるべきものではなく)大切だ」というような意味になる。
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大切ではなかった「黒人の命」

最初の奴隷がアフリカ大陸やカリブ海諸島から、後にアメリカと呼ばれることなる土地へ拉致されてきたのは400年以上も前のことであり、その時に「黒人の命は大切」なものではなかった。

奴隷は動物と同じであり、大農園での労働にどの程度使えるかによって値付けされ、売買されていたのだ。奴隷が死んでも、経済的な損失でしかなく、「人間の命」の問題ではなかった。