よりよい世界をつくるためには、私たちの日々の暮らしを見直してみよう。先進的なエリアの市民は、グローバルな問題であるSDGsを自分ごととして捉え、ローカリズムを大切にしています。今回注目するのは、ドイツ・ベルリン。

ヨーロッパの中でもとりわけベルリンは“多様性の街”と言われる。セクシャルマイノリティも外国人も存在を認め合う、そんなおおらかさがある。一人ひとりが“生”を謳歌できる素晴らしさ、そして寛容の精神。この街に住む3家族がその魅力を教えてくれた。

ゲイカップルが迎えた息子、
父親2人で育児に取り組む

左から、環境関係のエンジニアのBent Vansbotter(ベント・ファンスボッター)、都市計画に従事するJörg Ernsting(ヨルグ・エルンスティング)、12歳のFelix(フェリックス)。自宅のダイニングにて。フェリックスが来た時、彼らの会社のメンバーがサプライズで祝福してくれたという。現在、フェリックスの肖像権は保護施設側が管理しており、公の場での写真公開を禁じられている。

学生時代からのパートナーであるベントとヨルグは、互いに子どもが欲しい気持ちが募っていた。転機が訪れたのは2007年。市の児童保護施設で、生まれてまもない男の赤ちゃんと出会った。彼らが登録した制度は養子縁組ではなく、親が育児放棄や病気など、何らかの理由で育てられない子どもたちを第三者が引き取り育児するというもの。一定の年齢に達するまで、親権は本来の親にある。

「養子も考えたが、受け入れまでに時間がかかる。それに、困っている子どもたちを救いたい気持ちも強かった」とヨルグ。審査が通った彼らは1ヵ月の試用期間が設けられ、女性スタッフからミルクやおむつ替え、赤ちゃんのお世話を学んだ。

男の子はフェリックスと名付けられ、すくすくと成長し、現在12歳。自分の境遇も理解している。「孫を期待していなかった両親も大喜び。でも地方ではこの状況を理解してもらうのはまだまだ難しいかもしれない。僕たちがきちんと独立していたからこそ、子どもを迎える選択ができたと思う」とベント。

フェリックスは、最近、乗馬や教会のアートプログラム、ボーイスカウトなど習い事に忙しい。ベントとヨルグの子育ての役割は特になく、できる方が担当する。「以前『パパー』と呼んだら2人来ちゃって(笑)、だから今は名前で呼んでるんだ。僕はパパが2人もいて嬉しいよ」