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香港の「1国2制度」崩壊に、各国が手をこまねく“きな臭い”理由

背景に横たわる経済の「非情な論理」

国際公約違反は明らかだが

6月30日深夜、中国の習近平政権は香港を厳しく統制する「香港国家安全維持法」の公布と施行を同時に行った。

これを受けて、翌日午後までに、香港の警察当局は、香港独立を掲げる旗を所持していただけの男性を同法違反容疑者の第1号として逮捕。加えて、わずか1日あまりの間に他の容疑も含めて約370人の男女の大量逮捕に踏み切ったという。

一連の行為は中国の強硬姿勢を香港内外に対して示す示威行動であり、香港に高度の自治を認める「一国二制度」は事実上崩壊した。

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G7諸国に共通の価値観から見れば、中国の国際公約違反は明らかだ。中国と英国が1984年に合意した、中国の社会主義を香港に押し付けず、「従来の資本主義体制や生活様式を返還後50年間維持」、「一国二制度」を保障するとしていた「中英共同声明」に明確に違反するからだ。

同声明の趣旨は1990年制定の「香港基本法」に踏襲され、これらに基づいて1997年に香港返還が実現した経緯もあるのに、中国が共同声明や基本法を上書きする形でそれらの上位に位置するものとして「香港国家安全維持法」を制定したことは、許容し難い行為だろう。

日米欧のG7(主要7カ国)諸国は事前に外相共同声明を出して「再考」を求めたものの、内政問題だと主張する中国に無視されてしまった。その後、国際社会は形ばかりの対応しか打ち出せていない。

見逃せないのは、その背景だ。底流には、民主主義や基本的人権の擁護といった哲学とは相容れない、非情な「経済の論理」が横たわっている。