炎上した自民党もNHKも「わかりやすさ至上主義」の罠にハマっている

なぜ「わかりやすさ」に縛られるのか
武田 砂鉄 プロフィール

「へぇ、そうだったのか!」と反応する。今、あらゆる局面で多様性を受け入れる社会にしようと叫ばれているわりに、提示された選択肢が極めて限られている場面が増えていないだろうか。

とても“わかりやすい”例を出せば、「犬が好き? 猫が好き?」と問われる。自分はどちらもそこまで好きではないので、「ウサギのほうが好きかな」「そんなことよりカレーを食べに行こうよ」と答える。すると、「偏屈な人ですね」という目を向けられるのだが、「強いて言えば猫かな」と答えるほうが、「強いて」とあることからわかるように、無理をしている。提示された選択肢を妄信してはいけないはずだが、この手のシンプルな図式が、日常生活だけではなく、メディアや政治の場で繰り返されている。

本の中では、この「わかりやすさ」にすがる社会の問題点をいくつもの事象から考察しているのだが、ここでは、比較的新しい時事問題から「わかりやすさの罪」を拾い上げてみたい。

 

「わかりやすさ」のため、歴史を修正する自民党

6月19日、自民党広報のTwitterが、ダーウィンの進化論に結び付けながら、憲法改正を訴える4コマ漫画を投稿した。

ダーウィンをもじった「もやウィン」なるキャラクターが憲法改正の必要性を説明する内容で、「ダーウィンの進化論ではこう言われておる」との前置きから、「最も強い者が生き残るのではなく 最も賢い者が生き延びるのでもない」「唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」と主張、最終的に「これからの日本をより発展させるために、いま憲法改正が必要と考える」とまとめてみせた。

自民党広報のツイッターより引用