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コロナ「第2波」到来前に問われる「日本モデル」の決定的弱点

「日本モデル」対「西浦モデル2.0」

緊急事態宣言が解除されて2週間以上が過ぎた6月半ばから、新規陽性者数が拡大傾向に入った。顕著な増加傾向に入っていること自体は明らかなようだ。

結局、新規陽性者数が底を打ったのは、緊急事態宣言の最初の1ヵ月の効果が出た5月20日前後であった。そして緊急事態宣言が解除されて2週間強が過ぎたところで、きっちりと拡大傾向に戻ってきたということのようだ(参照「『日本モデル』vs.『西浦モデル2.0』の正念場」)。

あらためて緊急事態宣言を出す方がいいという意見から、検査拡大後の若者中心の陽性者数の増加なので宣言は必要ではないという意見まで、様々な議論が噴出してきた。

私は政治学者なので、将来の予測をすることはない。しかし新型コロナ問題の深刻さには関心を持ち、『現代ビジネス』においても今まで何度か、「日本モデル」の新型コロナ対策について、社会科学者の観点から整理してきた。解除後の時代の新しい段階に入ったところで、あらためて現状の理解を整理することを試みてみたい。

ハンマーとダンス

5月初旬の記者会見で、西村康稔・新型コロナ対策担当大臣が「ハンマーとダンス」という概念を紹介したことがある。その後、山中伸弥・京都大学教授もブログで見解を述べたことなどがあり、有名になった。

西村康稔・新型コロナ対策担当大臣〔PHOTO〕gettyimages
 

緊急事態宣言中の事実上のロックダウン措置が、いわば「ハンマー」であった。緊急措置によって、ウイルスの拡大を極力抑え込むという措置である。

「ハンマーとダンス」概念による説明の要点は、「ハンマー」はウイルスをゼロにして撲滅する措置ではない、ということだろう。「ハンマー」措置の後も、対策が続いていくのが前提になっている。どんなに厳しいロックダウンを導入しても、ウイルスの撲滅は不可能だ、という観察が、その背景にある。

実際に、4月の段階でほぼ新規陽性者の発生を封じ込めた台湾やベトナムのような国においてすら、現在でもなお散発的に新規陽性者が見つかっている。そのため今でもマスクをするなどの対策を止めていない。封じ込めたように見えても、くすぶり続けているのがウイルスである。日本のような人口1億2千万人以上を擁する国で、ウイルスを完全撲滅するのは、非現実的なまでに難しい。

「ハンマー」による強力措置をとることの最大の意味は、次の流行に備えて、検査体制を充実させ、医療体制を整備し、社会行動の変容の準備をすることにある。