# 介護

田舎の老人ホームに「80代の母親」を入れたら大後悔した息子の悲劇

「長男」としての期待が彼を苦しめた
太田 差惠子 プロフィール

死に際に父親が言った言葉

K男さんの気持ちがわからないわけではありませんが、あとから、「ああすればよかった。こうすればよかった」と考えるのは、苦しいだけで得策とは言えません。

老親介護の現場では、割り切るしか仕方がないことはたくさんあります。

母親を東北の施設に入れていても、新型コロナの影響で面会できなくなったことに変わりはないでしょう。地元での感染者は少なくても、首都圏からの家族の面会は禁止されていたはずです。不可抗力、仕方のないことです。

それに、もし、K男さんが強引に母親を自宅に住まわせ在宅介護を選んでいたら、妻とは離婚になったかもしれません。離婚に至らずとも、険悪な状態になったことが推測できます。両親はそんなことを望んでいたでしょうか。

 

また、K男さんは「へんぴなところにある特養」と言いますが、それは「自然がいっぱいの環境のよい特養」と言い換えることもできます。特養待機者29万人にものぼる日本の現状で、場所を選べないのも仕方のないことです。

K男さんは母親の1人暮らしが難しくなった段階で施設介護を選択し、経済的に苦しくなった段階で特養に住み替え。後悔どころか、できる限りのことをした好例だと言えるのではないでしょうか。K男さんの情報収集力と、行動力の賜物だと言えます。

それなのに、なぜ「うまくやれた!」と自分自身をほめずに、「もっと良い方法があったはずだ」と嘆くのでしょう。

K男さんがうまくやれているにもかかわらず罪悪感を抱えている理由の1つは、死に際に父親が言った「母さんのことを頼む」という言葉だと思います。