昨年9月すでに武漢で「新型コロナウイルス」防疫演習が行われていた

外交部報道官「米軍拡散」説の背景か
北村 豊 プロフィール

何を防ぐための演習だったのか

ところで、2020年1月28日付の「財新網(ネット)」は「2018年の新型冠状病毒(新型コロナウイルス)、感染するのは豚だけで人には伝染しない」と題する記事を報じた。同記事の内容は以下の通り。

2018年に中央電視台(中央テレビ局)が伝えた『科学者が新型コロナウイルスを発見した』というニュースが、近頃メディアによって盛んに報じられている。このニュースを見た人の中には、現在武漢から全国へ爆発的に拡散している新型コロナウイルスは2年前にすでに発見されていたのではないかと疑う人もいる。

実際上、冠状病毒(コロナウイルス)は種類が多く、名前は新型であっても、過去に発見されていなかっただけである。2018年4月に発見されたウイルスは、豚に感染するだけで、人には伝染しない代物だった。

当時の報道の中で、中国科学院の「武漢病毒研究所(武漢ウイルス研究所)」が牽引する研究グループは数日前に、当該ウイルスは1年以上前に広東省で発生した流行性下痢を引き起こすウイルスと同一で、元凶はコウモリを起源とする一種の新型コロナウイルスであると確定した。

当時発病した豚に濃厚接触した作業員から採取した血液に抗体検査を実施したが、感染の形跡は発見されなかった。

今回武漢で発見された新型コロナウイルスは2018年に報道された豚に感染する新型コロナウイルスとは分類学上で同一種ではなく、SARSウイルスの一種である。

上記の記事から分かるのは、「冠状病毒(コロナウイルス)は種類が多く、過去には発見されておらず、新たに発見されたコロナウイルスは、新型コロナウイルスと呼ばれる」ということである。

そうであるならば、武漢軍人運動会の開会を1カ月後に控えた武漢天河国際空港で武漢税関が検査を兼ねて実施した予行演習の中に「新型冠状病毒(新型コロナウイルス)の感染が発見された際の処置」が含まれていたというのは理解しがたいことである。

さらに、彼らが新型コロナウイルスの感染を発見する対象としていたのは、中国国民ではなく、海外から武漢軍人運動会に参加する目的で入国する外国軍人やその関係者であった。

 

すでに述べたように、中華人民共和国成立70周年の記念行事として国威発揚を目的に招致した武漢軍人運動会であるはずなのに、その参加者や関係者が新型コロナウイルスに感染している可能性を懸念し、万一にも感染が発見された際の処置を予行演習したことになる。