じつは日本でいま「管理職」の仕事が消え始めている…! その残酷な現実

これまで不要不急の仕事を守りすぎた…
大原 浩 プロフィール

トヨタが「本当に凄く」なったワケ

しかし、太平洋戦争の時には、熟練した作業員が徴兵されたため科学的管理方法が見直された。例えば、それまで熟練を要していた戦闘機の照準器の製作工程を多数に分割・標準化し、直前まで専業主婦であった女性たちでもすぐに製造できるようにしたため、大量生産が可能になったのだ。

よく、太平洋戦争で日本は「米国の物量に負けた」と言われるが、その「物量」を支えたのが科学的管理法であり、日本は「テイラーの科学的管理法に負けた」ということもできる。

ドラッカーによれば、テイラーの科学的管理法のおかげで米国の生産性は50倍になった。この生産性の向上が米国を大国にのし上げた原動力なのである。

惨めな敗戦を経験した戦後日本は、米国の物量作戦を支えた生産方式を熱心に学んだ。6月16日の記事「やはり独り勝ち、世界の自動車メーカーはトヨタにひれ伏すのか?」で取り上げたトヨタ自動車ももちろんその中の1つだ。直接的なつながりはないが、テイラーが日本の製造業の高い生産性の恩人だとも言える。

トヨタを大躍進させた「科学的管理法」 photo/gettyimages
 

ところが、本家の米国では戦後において科学的管理法が忘れ去られ、製造業が低迷した。その間隙をついて優秀な弟子である日本の製造業が大躍進し、トヨタ自動車が米国の代表的自動車メーカーを「実質的に」指導するまでに至った(もっとも、言うことを聞かない生徒たちの成績は今でも芳しくないが……)。

しかし、米国の製造業が衰退したものの「非製造業」で莫大な富を生むようになり、当然生産性も向上した。それに対して、日本では製造業の高い生産性に「非製造業」がおんぶにだっこで、「非製造業」の生産性は一向に向上しなかった。

優秀な人材などの資源がどこに投入されたのかという問題もあるかと思うが、どのような理由にせよ、日本の非製造業の生産性は低いまま漫然と放置されてきたのである。