2019年10月に北朝鮮が発射した潜水艦発射弾道ミサイル〔PHOTO〕gettyimages

イージス・アショア断念で再燃…「敵基地攻撃」議論の厳しすぎる現実

現時点でも能力は「ある」けれど…

「敵基地攻撃」という難問

政府による地対空迎撃システム「イージス・アショア」の導入断念と引き換えるように急浮上した「敵基地攻撃」の議論。自民党は敵基地攻撃能力の保有も含む代替策を協議し、7月中に提言をまとめる方針を決めた。

だが、「専守防衛」の兵器体系を持つ自衛隊が攻撃的兵器を揃えるのは費用面から困難さを伴うばかりでなく、何より実効性に疑問符が付く。法理面でも政府見解の見直しが必要となる可能性があり、敵基地攻撃のハードルは極めて高い。

米軍がルーマニアに配備したイージス・アショア(米海軍第6艦隊公式Flickrより)
 

イージス・アショアの導入を決めた2017年12月19日の閣議決定は「北朝鮮の核・ミサイル開発は、我が国の安全に対する、より重大かつ差し迫った新たな段階の脅威」とあり、安倍晋三内閣が北朝鮮から飛来する弾道ミサイル対処を想定していたのは明らかだ。

すると、当面、保有を検討する敵基地攻撃能力は「対北朝鮮向け」ということになる。

防衛白書は、北朝鮮が日本を射程に収める弾道ミサイルの保有数について「数百発」としている。2018年5月に発表された米国防総省の報告書によると、北朝鮮は発射台付き車両のうち、スカッド用は最大100台、ノドン用は同50台、IRBM(ムスダン)は同50台保有しているとされる。

仮に北朝鮮が保有するミサイル発射機を200台としよう。敵基地攻撃により、破壊する必要があるのは、200台すべての発射機ということになる。1台でも残り、核弾頭が搭載されたミサイルを発射された場合、甚大な被害を受けるのは確実だからだ。