ニューヨーク在住記者が日本の「カジノ論議」があまりに的外れと感じる理由

過度の期待と過度の恐怖
笹野 大輔 プロフィール

パチンコは「ギャンブル」?

ギャンブル依存症についても「どこからが依存症なのか」を知る必要がある。日本ではパチンコはギャンブルと思っていない人が多いが、世界中の人から見れば紛れもなくギャンブルだ。例えるなら日本で軍隊を自衛隊と言いかえているようなもので「パチンコはギャンブルではない」という論理は国内でしか通用しない。だが、なぜか日本では(カジノだけの)ギャンブル依存症が恐れられ、言葉も一人歩きしている。そもそもギャンブル依存症とはどこからそう呼ぶのだろうか。

例えば、Aさんは月に10万円パチンコに費やし、Bさんは月に50万円費やすとしよう。Aさんは毎月10万円のパチンコ代を捻出するため家族や親兄弟に嘘をつき、お金を工面する。パチンコ代がなければ家庭内暴力もある。そうであればAさんはパチンコ(ギャンブル)依存症といえる。しかしBさんは毎月50万円パチンコに費やしても家庭円満、親兄弟にも嘘をついてお金を無心することもない、となればBさんはパチンコ(ギャンブル)依存症ではなく、遊びや趣味の1つすぎないとなる。これはAさんBさんともに同額であっても同じことだろう。

ニュージャージー州アトランティックシティ。海岸沿いのカジノ街の遊歩道は人影もまばら
 

カジノ側も対策はしており、例えばクレジットカードをそのままゲーム台に差し込んでカジノで遊べないようにしている。数字だけ見ていると歯止めがかからなくなるからだ。こういったことをギャンブル依存症対策と呼ぶのだが、世の中にはFX取引などもそうだが、数字だけでお金を操作するものはたくさんある。そんなことは考慮せず、なにがなんでもギャンブルを否定する人は、選挙でカジノ賛成派、反対派、玉虫派の候補者をよく見極めて投票する必要があるだろう。

おそらく日本でカジノを造るのであれば、小綺麗な会議場や展示場を建設して空港の免税店にあるような欧米の高級ブランド店をいくつか誘致して、小さなカジノを真ん中に据える……そんなところだろう。だが、これでは外国人には見向きもされない。特に欧米人の感覚からすると日本のそんなカジノはツアー日程にも入れないだろう。