ニューヨーク在住記者が日本の「カジノ論議」があまりに的外れと感じる理由

過度の期待と過度の恐怖
笹野 大輔 プロフィール

日本で例えるなら温泉旅行のようなもの

私は年に4回から5回、カジノに行くが、大金をかけるわけでもなく「レジャーとして」行っている。日本で例えるなら温泉旅行のようなものだ。

いまや世界中のカジノは、子供連れが楽しめる場でないといけなくなっている。これが絶対条件だ。私が会員でもあるシーザーズというカジノもそうで、スパやプール、レストランなど充実した施設になっている。様々なイベントもあり、カジノの脇には料理教室があったりもする。とにかくカジノ以外にサービスで投じている金額が大きいのがカジノの特徴だ(2011年にはカジノのシーザーズ主催で荒川静香さんや安藤美姫さんらメダリストを呼んで「アイスショー」をしたりもしている)。

ニュージャージー州にあるアトランティックシティの場合、カジノ施設の外に出れば、ビーチや海岸沿いに延びる遊歩道、アウトレットモールや遊園地などもある。ただ、どれもインパクトに欠けるので、街自体は衰退していっている。治安は悪いが、カジノを造ったから治安が悪くなったのではなく、カジノはその地域の経済の柱になるから人が集まり、経済効果がないと治安の悪化に繋がるだけだ。

無料で宿泊の招待があるアトランティックシティのカジノホテルの部屋
 

当然、カジノをいきなり住宅街には造らない。だから、日本でカジノ反対派が話す「治安が悪化する」「スラム化する」というのはさすがに飛躍しすぎといえる。イメージとしては炭鉱で栄えた街に近い。炭鉱がカジノだと思えばわかりやすいはずだ。もし街にカジノがあればその街の中心になる。そして炭鉱も閉鎖されると街の疲弊に繋がるが、カジノも一度衰退すると、客離れは激しくなり地域の雇用も減る。その先に治安の悪化があるのだ。

筆者にも毎年カジノホテル無料宿泊の招待がある。いまやアメリカでのオンラインカジノも売り上げは毎年2割ずつくらい上がっているので、実店舗型のカジノは集客に必死なのだ。新型コロナで追い打ちをかける形になるだろう。いずれにせよ、カジノから税収を上げたいニュージャージー州にしても、一度カジノの営業許可を出したからといって安泰ではなく、毎年カジノへのてこ入れをしている。