ニューヨーク在住記者が日本の「カジノ論議」があまりに的外れと感じる理由

過度の期待と過度の恐怖
笹野 大輔 プロフィール

15年遅れのカジノ

現在、日本がモデルにしているとされるシンガポールのマリーナベイ・サンズは2010年に開業。約10年前だ。そして今回、日本の計画ではカジノのオープンは5年後を見据えている。日本の周りにはマカオという世界最大のカジノの街もあり、韓国でカジノは17箇所、フィリピンにもカジノはある。しかしながら、日本は、シンガポールのマリーナベイ・サンズから15年遅れのカジノを日本のどこかに建設しようとしていることになる。

そしてこれは日本のカジノ賛成派、反対派にも言えることなのだが、日本では「カジノに行ったことがない人」がカジノを論じている場合が多い。そして過度の期待と過度の恐怖で世論は分かれてしまっている。

カジノといってもパチスロのような台がフロアの半分を占める
 

アメリカでのカジノは、ポーカーやルーレットなどのテーブルゲームと日本のパチスロのようなゲーム台のコーナーがフロアで半々くらいに分かれている。レバーを引いて「777」と揃うようなスロットゲームは旧型機で、高齢者向けに古い台がそのまま置かれている程度。ほとんどは日本のパチスロのようなストーリー性のあるゲーム台になっている。パチスロとの違いは、自分で3つのボタンを押してレールを止めないことくらいだろう。日本のKONAMIが製造したパチスロのようなゲーム台もアメリカのカジノにはたくさんある。

賭け金も小額から遊べるので、1セント(約1円)単位のスロットマシーンなら1万円もあれば終日カジノにいることもできる。ニュージャージー州やラスベガスのカジノ内でお酒は無料なので、ゲームセンターで飲んでいるような感覚に近くなる。

テーブルゲームにしても、アメリカ人の大半は「非日常を楽しみに来た」という程度だ。女性ならドレスを着ている若い人たちも多く、男性でも無我夢中になってカジノで賭けているわけではない。VIPの人たちが大金を賭けているが、その人たちの勝ち負けと、日本人の「カジノ賛成・反対」の議論とは別問題になる。