今も新種が見つかり続けているのに…注目されない「影薄恐竜」とは?

今年には巨大化石群発見のきっかけに
安田 峰俊 プロフィール

この雲陽普安化石群については、中国共産党中央委員会機関紙『人民日報』WEBサイト『人民網』の日本語版に、2017年6月29日付けで詳細な記事が掲載されている。下に引用してみよう(なお、改行は筆者による)。

 

2015年年初に普安郷の住民からの恐竜の化石らしきものを発見したとの報告を受け、国土部門は直ちに露出部分の調査及び一時的な保護作業を開始した。

調査結果により、沙溪廟組岩層から上に約5キロの範囲内に、露出した恐竜の化石があることが分かった。その中心エリアの露出した部分の長さは550メートル。

国土資源部(省)の批准を経て、2016年10月に普安郷古生物化石発掘作業が全面的に始まった。緊急発掘作業により、すでに長さ150メートル、厚さ2メートル、高さ8メートルの「恐竜化石壁」が形成されている。壁の面積は1155平方メートルで、17ヵ所の化石密集小エリアが含まれる。

調査によると、壁の中にはまだ大量の恐竜の化石が残っており、少なくとも深さ20メートルに埋蔵しているとみられている。中心エリアから約1キロ離れたジュラ紀前期自流井組地層の中にも、密集した恐竜の化石が露出しており、今後さらなる発掘・研究作業が続けられる予定だ。

大量死で生まれた「恐竜化石壁」

2020年6月9日付の『光明日報』によると、この恐竜化石壁からは、竜脚形類・竜脚類・獣脚類・鳥脚類・剣竜類など各種の恐竜の化石が見つかった。さらに海生爬虫類の首長竜類やカメ類、二枚貝など海の生き物の化石も発見されている。その数は、2020年6月までに1万点近くにのぼるという。

中国の著名な恐竜学者・徐星(Xu Xing、1969-)の見立てによれば、この土地は1億6000万年ほど前は湖の岸辺だったようだ。しかし、幾度かの大規模な災害により生物の大量死が発生。それがこの「恐竜化石壁」が成立した事情だとみられている。

オメイサウルス・プシエンニは、2017年に全身の化石が掘り出されており、全身の約40%が見つかった。仙骨の形、首の構造などが、いずれもこれまでに見つかったオメイサウルスの仲間とは大きく違うため、新種として報告されたようである。

中国最古参に近い恐竜としての存在感を放ちつつ、2020年の新種発見ニュースまで、オメイサウルスはさまざまな話題を提供し続けている。地味だが出場機会が多い、いぶし銀の中国恐竜だと言えるだろう。

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