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濃厚接触がなければ芸術は成り立たない〜ポストコロナ期の芸術の使命

ウイルスと共生する日常のなかで

いずれコロナ禍が収束すれば、新たな日常がやってくる。しかしそれは平時と非常時が入り混じったような、いままでとは違う日常であるはずだ。情報社会のなか、わたしたちは恐怖を煽られ、人との距離を取る。しかし芸術は本当にソーシャルディスタンスを保ちながら可能なのだろうか? これまでの感染症と芸術の歴史をふり返りながら、ポストパンデミック時代の芸術の使命とは何かを探っていく。

ライブストリーミングチャンネルとして芸術に関する様々な情報を発信し、今年10年目を迎えたDOMMUNE宇川直宏氏と、ニコ生チャンネル「芸術動画」を運営する芸術集団・カオス*ラウンジの黒瀬陽平氏が語った(本記事は、2020年4月24日に放送された対談をテキスト化したものです)。

【構成:住本麻子】

【前編はこちら】

 

「大仏」とアベノマスク

宇川:次は天然痘です。これは感染力と致死率が最も高い、歴史上最も人を殺した疫病だと言われています。シルクロードを経由してユーラシア大陸に広がって奈良時代に日本でも大流行したと言われていますね。

黒瀬:日本でも皇族や高位貴族、その跡取りなどが続々と天然痘に感染し、社会的な危機がもたらされました。当時、疫病は怨霊の祟りや仏罰、神罰と結び付けられていましたから、「鎮め」や「祓い」のための儀式が発達することになります。そういえば、コロナ禍がまだそれほどひどくなかった時期に、ツイッター上で「大仏つくろうか」という話が出ていましたよね。

Mass Ave 975 - Taken by Mass Ave 975,https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9802350による

〈奈良の大仏〉

宇川:そう、聖武天皇と同じアイディアですね(笑)。21世紀に入っても人間の発想は変わりません。

黒瀬:まあ、ツイッターで盛り上がるくらいは微笑ましいと思えるんですが、政治も同じようなマインドになっているのは不安ですけどね。一昨日、うちにも例の「アベノマスク」が届いたのですが、あれ完全に「護符」ですよね。

宇川:アベノマスクの大半はミャンマー製らしいですよ。ミャンマーからご祈祷のエネルギーが伝来している(笑)。

黒瀬:ミャンマー経由で、内閣総理大臣から「お守り」が2枚届く。しかし、世の中を見ていると意外にこの「お守り」も人々に安心を与えているようで、6世紀くらいからあまり変わってないなと思いますね。