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なぜコロナ不況でも株は下がらない?「出口なき金融政策」の行方

「犬より大きい尻尾」が抱えるリスク
小出 フィッシャー 美奈 プロフィール

結論から言って、目下の現象は中央銀行から新しいマネーが大量に市場に供給されていることが一番の要因だと考えられる。

世界の株式市場を牽引する米国では、FRB(米国連邦準備理事会)が新型コロナ発生以来、米国債のみならず、地方債や一般企業の社債まで買って、大量に市場にマネーを送り込んでいる。その金額は、新型コロナによる市場の動揺が始まった2月24日から6月17日までの4ヶ月足らずで、3兆ドル(330兆円)にも上っている

米国債市場が約17兆ドル、米社債市場が9兆ドル程度という比較からも、FRBが市場に与えた安心感がいかに抜群だったかが理解できるだろう。

 

見えない「出口」と市場の中央銀行依存

なぜ中央銀行が市場に介入するのかについては、キャッシュ(流動性)の重要性についての過去記事(→大荒れの「新型コロナ相場」、乗り切るために一番必要なもの)でも取り上げたが、当局が最も懸念するのが現代版の「取り付け騒ぎ」だ。大企業や金融機関がお互いに資金を融通し合うCP(コマーシャルペーパー)やレポなどの短期市場で資金が突然枯渇して、突如として連鎖破綻が起きるリーマンショックの時のような現象だ。

そのドミノ倒しを未然に防ぎ、拡大を抑えるのが中央銀行だ。資金を提供してくれる取引相手が市場から全て消えてしまった時に、最後に頼れる相手であることから、「最後の貸し手(lender of last resort)」とも呼ばれる。

でも、資本市場が大きくなってその混乱もスケールアップするにつれ、それと綱引きをする中央銀行のバランスシート(総資産の額)も未曾有の規模に膨らんでいる。7月1日現在のFRBの総資産約7兆ドルは、リーマンショック前と比べると7倍になっている。

FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長/Photo by Gettyimages

リーマンショック前までは、FRBの総資産は9000億ドル程度だった。それが、リーマンショック後3回の「量的緩和(QE)」で国債やMBS(住宅担保証券)などを買った結果、2014年までに4.5兆ドルまで膨んだ(逆に言えば、差額の3.6兆ドル分の資金が、この間市場に供給されたことになる)。