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なぜコロナ不況でも株は下がらない?「出口なき金融政策」の行方

「犬より大きい尻尾」が抱えるリスク
長引く新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、世界経済は深刻な景気後退に直面している。世界銀行が6月に発表した見通しによれば、2020年の世界経済成長率は5.2%減ーー。一方で、世界の株式市場は新型コロナ拡大を受けて3割程度急落した後、急ピッチで回復している。
こうした「実体経済」と「金融」の乖離はなぜ起きるのか。米国の投資運用会社で働いた経験があり、『マネーの代理人たち』の著書もある小出・フィッシャー・美奈氏が解説する。

深刻な景気後退でも株が下がらないのはなぜか?

2008年のリーマンショックの後に、ある外国人ファンドマネジャーが「これから世界が『日本みたいに』ならなければいいけど」、と言っていたのを思い出す。「日本みたいに」というのは、出口の灯りが見えないデフレの長い長いトンネルのことだ。

当時は、世界の投資対象の中でいかに日本株に魅力が無いか、事あるごとに指摘され、日本株の運用者だった私は居心地の悪い思いをしていた。でも、今の主要国の「金利を下げ続けても景気停滞から抜け出せない」という状況や出口のない金融政策を見れば、まさに世界が「日本みたいに」なった感がある。

足下では、新型コロナで景気後退や大量失業が起きているのに株価は下がらない、という奇妙な現象が起きている。このことも「出口のない金融政策」と無縁ではない。

5月26日から立会場の一部を再開させたニューヨーク証券取引所/Photo by Gettyimages
 

まず、新型コロナによる経済への影響は「一過性」という言葉で片付けられるほど、軽いものではない。世銀やIMF(国際通貨基金)は、先進国でロックダウン解除が進む中でも、今年の世界経済成長率をそれぞれマイナス5.2%(先進国ではマイナス7%)、マイナス4.9%と予想している。これは、第二次大戦以来最悪の景気後退だ。

失業も深刻だ。米国では4月の失業率が14.7%と、世界大恐慌以来の最悪水準を記録した。アイルランドでは、4月の失業率は28%を超えた。日本でも4月の休業者数が597万人と過去最高となり、前年と比べて97万人の非正規雇用者の雇用が減った(総務省)。

緊急事態宣言解除後の5月も休業者数は高止まりしており、回復の速さは未知数だ。

それなのにーー。世界の株式市場は新型コロナウィルスの拡大を受けて3割程度急落した後、急ピッチで回復し、コロナ前のピークから5%近くまで戻した。7月2日現在もピークから7%程度で推移しており、何事もないような落ち着きを見せているのだ。IMFも、今の世界市場のセンチメントは、実体経済の見通しと「乖離(disconnected)しているようだ」とコメントした。

では、なぜ経済の実態と株価の動きがこうもかけ離れてしまったのだろう?