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職場を離れても「常に仕事に取り巻かれている感じ」の正体

認知資本主義のなかの労働

家でも仕事のことが頭から離れない

「会社が自宅を侵食してくる」

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、「テレワーク」が推奨されるなか、SNSでこうした書き込みを目にする機会があった。

テレワークによって満員電車で通勤せずにすみ、「三密」を避けられるのはありがたい(テレワークを認めようとしない会社もあるのだから)。しかし「在宅」で「勤務」となると、プライベートな空間に仕事が割り込んでくることになる。私生活と労働の線引きがあいまいになってしまい、自分の家にいるのにいつも仕事のことが頭の中から消えず、ストレスがたまっていく――この書き込みは、そうした苦しみのあらわれと言えるだろう。

ブルームバーグに掲載されているWorking From Homeという特集の副題は、まさにこのような気分を的確に言い表している。

「生産性、そして正気を保つための究極のガイド」(The ultimate guide to staying productive -- and sane)

5月25日に緊急事態宣言が全面解除されたため、通勤の人出はかなり戻っているが、テレワークは今後も増えていく可能性が高い。日本とはかなり状況が異なるものの、5月上旬の時点でフェイスブックやグーグルといったテック系企業は、在宅勤務の態勢を年末まで延長することを決定し、さらにフェイスブックは在宅勤務を前提とする採用を7月から開始する*1。日本でも、これを機にオフィスをなくしてしまう企業が現れている*2

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他方で、人と人の接触を可能な限り減らさなければならないというコロナ禍の異常な状況において、医療従事者とともに、運送やスーパーマーケットの現場などで働く人たちが「エッセンシャル・ワーカー」としてクローズアップされた。わたしたちの生活を、この社会を、ほんとうに支えているのは、彼らなのだ。

この賛辞は、しかしどこか白々しく響いてしまう。明らかに感染のリスクを冒さざるを得ない仕事にもかかわらず、その多くは低賃金で、雇用形態も不安定なことが多い。アメリカに500以上あるアマゾンの倉庫のうち50で新型コロナの感染者が見つかり、死者も出る中で、感染対策の不十分さを訴えるストライキを主導した従業員は解雇されてしまった。

アマゾンの副社長のティム・ブレイはこの解雇に抗議して辞任し、こう述べている。「これはアマゾンだけのことじゃない、これが21世紀の資本主義のやり方なんだ」*3