TBSドラマ『半沢直樹』公式サイトより

総集編も好調! 2013年夏、なぜ『半沢直樹』は大ヒットしたのか?

その要因をあらためて振り返ろう

再放送も配信もなかった「別格」のドラマ

5日、予定から約3ヵ月遅れで『半沢直樹 特別総集編・前編』が放送され、時間帯トップの世帯視聴率13.0%を記録したほか、ネット上は多くのコメントで盛り上がった(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

ただ、特別総集編の放送はコロナ禍の前から決定していたものであり、2013年からの7年間、再放送だけでなく配信すらされていなかったプレミアムコンテンツであり、他の再放送ドラマとは意味合いも格付けも大きく異なる。

最終話が世帯視聴率42.2%という平成ドラマ最高値を記録し、サラリーマンは居酒屋で語り、小学生は「倍返しごっこ」で遊ぶほどの国民的ドラマだったのだから当然なのかもしれない。

そして、12日の特別総集編・後編を経た19日、いよいよ7年ぶりの続編がスタートする。間近に迫った続編の放送前に、あらためて「なぜ2013年の『半沢直樹』はヒットしたのか」をおさらいしつつ、「令和の新時代にも通用するのか」を検証していきたい。

TBSドラマ『半沢直樹』の公式サイトより

最大の要因は「明快」と「痛快」

あらためて2013年の『半沢直樹』を振り返ると、大ヒットにつながった最大の要は、明快さと痛快さにある。当時は2011年の東日本大震災による暗いムードをなかなか払拭し切れず、ドラマだけでなくテレビ番組全体の世帯視聴率が下がり、人々は心の中にモヤモヤを抱えるなど閉塞感が漂っていた。

そんなときだからこそ、一目でわかる憎たらしい悪役に「やられたらやり返す」とはっきり口にする明快さ、大ピンチを切り抜けて悪をやりこめる痛快さがおおいにウケた。

その明快さと痛快さを実現させるために貫かれていたのが、リアルよりもファンタジー重視のスタンス。『半沢直樹』は銀行にかかわるリアルな描写をベースにしながらも、大筋は「ありえないことだけど、こうだったらいいのに……」というファンタジーの物語だった。

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たとえば半沢は上司に口答えするだけでなく、「倍返し」のシーンでは呼び捨てにし、啖呵を切るなど一般社会ではありえない言動が目立ち、上司を悪に見立てて成敗するシーンから“現代版の時代劇”なんて声もあった。そんなこそ世のサラリーマンが「ふだん言えないことを代弁してくれる」という意味でヒーローとなったのだろう。

その半沢は人情派でありながらも杓子定規な正義のヒーローではなく、目的のためなら「上司の部屋に忍び込んで証拠を奪う」など、清濁併せ吞む人物として描かれていた。

「ヒーローはかくあるべき」というきれいごとに収まらず、「絶対に泣き寝入りしない」「悪い奴を懲らしめるためならこれくらいは許してくれ」という半沢のスタンスがドラマ以上にシビアな状況の当時にハマったのではないか。