教員も驚いた…今の大学生が「マルクスに共感」するようになっている

彼らはこの思想家に何を見ているのか
田上 孝一 プロフィール

当然このような説明をすれば、ではソ連はどうだったのかという話にもなるだろう。だがソ連がマルクスのいう意味での社会主義ではないのは明らかではないか。一体どう見ればあの社会が、労働者が社会的総生産過程の主体となった社会といえるのか。そのような話はそれこそソ連官僚及び官許学者が宣伝した単なるプロパガンダに過ぎず、実態は労働者から乖離した官僚が主人公となった社会に過ぎなかったのである。

概ねこのような話を学生に聞かせている。我々の社会は転倒した社会だから正常に戻されるべきだし、人類にはそのポテンシャルは十分にあると。勿論これは一つのユートピア的ビジョンに過ぎず、人類社会は最後の最後まで主客が転倒したままでいる可能性も強かろう。

 

とはいえ、このような話は今まで当然だと思っていたことが必ずしも当然ではないと学生に気付かせるきっかけにはなるはずである。そしてこのような幾分大言壮語気味な話が、閉塞状況にある今の時代にあって、特に若い世代に新鮮に受け止められつつあるというのも、確かに実感させられていることなのである。

最後に、もしこれを読んで私のマルクス解釈に興味を持った読者には、『マルクス哲学入門』(社会評論社、2018年)や『マルクス疎外論の視座』(本の泉社、2015年)といった拙著を読まれんことを期待したい。