70%の接種率が0.6%になった日本、
こんな国はほかにない

現在、日本では接種率が70%程度あった時期から、0.6%にまで激減している。木下先生によると、このような国は日本だけ。むしろ「日本はなぜそんなにワクチン忌避になったのか」と、世界中のHPVワクチン研究者がこぞってその理由を知りたがっているという。

接種率が低下したのは、本当に日本だけの現象なのだろうか?
「マスメディアがセンセーショナルに副反応を取り上げ、接種率が大幅に低下した国はいくつかあります。しかし、副反応の原因が必ずしもHPVワクチンと言えないことやリスクの低さから、一時的な低下で済んでいる国がほとんど世界の中でも日本は、ワクチン史上に残る最低の接種率が続いています。それが他国と決定的に違うところです」

【副反応報道により接種率が低下した国々】
●日本 接種率70%程度から1%未満まで低下(2017年)
●フランス 接種率30〜40%から19%に(2016年)
●デンマーク 接種率80〜90%から36%に(2017年)
●アイルランド 接種率80〜90%から50%に(2016/2017年)

このうちデンマークとアイルランドはその後、V字回復し、現在はほぼ元どおりの接種になっている。

他国でもHPVワクチンに懐疑的な声があった。しかし、今もそのままなのは日本だけだ。出典/WHO

なぜ日本では、回復しないのか。日本人は、他国と比べてヘルスリテラシーが低いということなのだろうか? 木下さんは次のように考えている。

「最初の副反応報道については、決定的に悪いとは思っていません。ワクチンの疑惑を伝える報道はどの国でも多少はあって、日本特有の現象ではないし、実際あったことを報じることも大切だからです。リスクが0のワクチンはどこにもありません。でもワクチンに対して懐疑的に思う比率は、医療が発展しているか否か、それによって感染症のリスクが身近であるかないかも深く関係しています

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【ワクチンに懐疑的という人の割合】
世界平均は13%
・懐疑的な人が多い国
フランス(45.2%)、ボスニアヘルツェゴビナ(38.3%)、日本(31.0%)
・懐疑的な人が少ない国
バングラデシュ(0.2%)、サウジアラビア(1.2%)、アルゼンチン(1.3%)
出典(EBioMedicine 12 (2016) 295–301)

「感染症が身近にある国では、打たないことへの恐怖が自分ごととして実感できる。逆にワクチンへのアクセスがよい国の方が、逆説的にワクチンへの信頼性が低いという結果になっています。先進国の人たちは、感染症を過去の病気だと思っているかもしれませんが、実際に、日本で子宮頸がんで亡くなる方は年間2800人もいます。1日8人もの女性が亡くなっている計算です。今そこにあるリスクなのです」(木下さん)