中咽頭がん、肛門がん、
HPV関連がんは男性にも増えている

もう1つ、このツイートで木下さんが伝えたかったのは、HPVワクチンについて誤解が生まれ、それがいつまでも解消されていないことだ。

子宮頸がんは若い世代の女性に多いがんなので、ワクチンを打つことでいちばんメリットがあるのは女性なのです。だからこそ女子に優先的に公費接種が行われています。海外では、男性にもメリットはあるが、女性の分がなくなるといけないからまずは女性に接種させるように言われてもいます。

それなのに日本では『なぜ女性にばかりリスクを負わせるのか』という、本筋とは真逆の対立構造に発展し、メリットが正しく伝えられなくなっています。その状況を変えるためにも、男女ともに打つべきであるということをしっかり伝えていくことが重要だと思いました。HPVワクチンは、一度接種すれば、効果はほぼ一生といわれているほど、子宮頸がん予防に有益なワクチンであることは間違いありません。かつ、男性にもメリットがあることも確実です」

そう説明すると木下さんは、米国の例を紹介してくれた。男性でもかなりの数の人たちが、HPVが原因でなり得るがんにかかっていた。

【男女におけるHPVワクチン関連癌の年間罹患者数(米国データ/年間)】によると
中咽頭がんは 男性7200人に対して女性1800人
子宮頸がんは 男性0人に対して女性1万400人

そのほか、肛門がん、陰茎がん、外陰部がん、腟がんなどを足していくとトータルで、年間9300人の男性と1万7600人の女性が、HPVワクチン関連がんにかかっている。

男子にもHPVワクチン接種ができれば、これほどの数のがんをほぼほぼ予防できるということになります。また、より多くの人がワクチン接種を受ければ、集団免疫がついたという状況になり、関連する病気の撲滅も視野に入るのです。ただ。効果がわかるのは、がんの好発年齢になってから。10代で打ったとして、数十年後ということになります」

【2012〜2016年の米国の女性におけるHPV関連がんの割合と診断時の年齢】

2012年~2016年の米国女性におけるHPV関連がん割合と診断時の年齢」出典/ CDC(米国疾病予防管理センター)翻訳改編

【2012〜2016年の米国の男性におけるHPV関連がんの割合と診断時の年齢】

2012年~2016年の米国男性におけるHPV関連がん割合と診断時の年齢」出典/ CDC(米国疾病予防管理センター)翻訳改編 

女性のHPV関連のがんの割合をみると、腟がん、中咽頭がんは60代ぐらいで増えてくるのに対して、子宮頸がんは20歳から増えてきて40-49歳がピーク。若い世代に発症するがんであると考えると、「先に女性に打ちましょう」ということは、公衆衛生の観点から理にかなっている。