親が3〜4人いる家族の形「クローバーファミリー」をご存知ですか?

フィンランドの事例から見えること
岩竹 美加子 プロフィール

独身女性と男性カップルの場合

ヘルシンキに住む40歳の独身女性と男性カップル、2歳の娘というクローバーファミリーの記事を見てみよう。

女性はヘテロセクシュアルで、5年間パートナーがいなかったが、子どもが欲しかった。精子を提供し、親の責任を持ちたいと考える男性カップルと友人を通して知り合い、1年かけて様々なことを話し合った。合意に達し、妊娠したのは「ムーミンマグのメソッド」を試し始めて半年後のこと。

「ムーミンマグのメソッド」 は、家での人工授精を指す。女性の排卵期に男性がアラビア社のムーミンマグに射精、それをシリンジで吸い取り2時間以内に膣内に入れる。この名称は、ムーミンの作者トーヴェ・ヤンソンがレスビアンだったこと、同性愛者から敬愛されてきたことから来ていて、90年代頃から使われ始めたという。家にあって慣れ親しんでいる、扱いやすいなども使われる理由だろう。金属製の容器は、精子を傷つけるので陶器やプラスティック製が良い。

 

3人は妊娠前に同居を始め、三つ葉のクローバーファミリーを準備。子どもの出生時にDNAテストで「生物学的な父」を確定した。3人での共同親権は認められなかった。娘には両親(母と生物学的な父)のほか、「社会的な親」がいることになる。クローバーファミリーでは、親の種類が4つに増える。それついては、後で見よう。

「生物学的な父」は職場から父性休暇をとり、その手当を社会保障庁から得た。娘の保育園には、もう一人クローバーファミリーの子どもがいる。娘がもう少し成長したら、包み隠さず話すつもりでいる。子どもにとって一番大切なのは、愛されて育つこと。3人で愛情を注ぎ、子ども中心の生活を送っている。日常生活は、普通の家族と変わらない。

また、子どもが感じ、考え、理解する家族関係を尊重している。「パパ」に当たる「イシ」と「イスカ」という2つの言葉を、2人の父に対して2歳児は使い分けているという。

男性カップルは、この女性より約10歳若く、3人は姉と弟のような関係だという。この女性は、ネウボラ(妊娠から就学までの間、検診、助言、相談などを行う機関)でも友人たちからもポジティブに受け止められたと語る。

70歳の実母が、時々子どもを見てくれるという。実母は、子どもは結婚して持つものと思っていたが、世界は変わるから自分も変わることができなければと話している。