主演ドラマの視聴率が2桁を割ろうものなら

なにしろキムタクは失敗を許されない。もし、主演ドラマの視聴率が2桁を割ろうものなら、例え責任が脚本にあろうが、大騒ぎになってしまうはず。「キムタク時代の終わり」とすら言われかねないだろう。だから本人は毎回、背水の陣で収録に臨んでいるのではないだろうか。

また、固定ファンが多いと、おのずとアンチも出てくる。すると、演技において厳しい目で見られる。ずっとバイプレーヤーの人とは置かれた立場が違う。楽ではないはずだ。

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「何をやってもキムタク」とよく言われるが、これは非難される筋合いではない。文化勲章まで受章した故・高倉健さんも「何をやっても高倉健」と言われた。国民栄誉賞を得た故・渥美清さんも同じだった。

とはいえ、47歳になったキムタクはもう少し出演する作品の幅を広げてもいい気はする。例えば、コメディだ。コメディと無縁に見える健さんも、『網走番外地シリーズ』(1965~72年)では観客を大爆笑させた。健さん演じる主人公・橘真一は義理と人情には厚いが、無鉄砲で単細胞な男でもあり、ユーモラスだった。

『男はつらいよシリーズ』(1969~97年)で笑わせてくれた渥美さんは、逆にシリアスにも挑んだ。『八つ墓村』(1977年)では金田一耕介役に扮した。石坂浩二(79)ら演じた金田一とは違い、静かなキャラクターだった。

よくキムタクとなぞらえる田村正和(76)も『パパはニュースキャスター』(TBS、1987年)などのコメディに主演している。キムタクも本格的なコメディをやったら、違った魅力が出るのではないか? 少なくとも役者としてマイナスにはならない気がする。

中年男の悲哀や侘しさを表現するドラマもやってほしい。これは笑わせるより難しい。長く苦楽を共にしたSMAPのメンバーたちと別離し、実際に哀しみや淋しさも経験したに違いない。仲間らとの別れは実社会の多くの中年男も味わうことだが、それを演技に生かせるのが役者という仕事なのだから。